「プロモーションのミスリードなどで正当な評価がされてない作品を全力で擁護させていただきます!」美しい絵の崩壊 さぽしゃさんの映画レビュー(感想・評価)
プロモーションのミスリードなどで正当な評価がされてない作品を全力で擁護させていただきます!
第二の母、親友の母、親友に似ている彼女を愛する。
第二の息子、親友の息子、親友に似ている彼を愛する。
リルやロズは私と同じ年代ですが、ちょっと感情移入できない設定でした。
年下の男に恋をして、自分の老いに苦しむ中年女性。なんていうのは普遍的なテーマだけど、この設定はちょっと違う。
年齢差だけではなく、イアンが言うように、「ロズはもう一人の母親。生まれた時から一緒」 だということ。
またイアンとトムは、生まれた時からずっと一緒の親友であり、双子みたいな存在。
母のような女性、親友を生んだ、親友に似てる女性と関係を持つ。
息子のような男の子、親友が生んだ、親友に似ている男の子と関係を持つ。
これはもう(間接的な)近親相姦と、(間接的な)同性愛を描いた作品です。
オーストラリア東部の、美しい海辺の街で繰り広げられる閉じ込められた愛情の捻れ。
「親友の母親と関係を持つ」
この部分だけクローズアップすれば、単なるソープオペラに成り下がりますし、ナオミ・ワッツとロビン・ライトの容姿に注目すれば、おばちゃんでも、親友の母親でも、アリとかナシとかいう下世話な話になります。
けど、そうじゃない。
原題は「TWO MOTHERS」です。こちらの方が、テーマが分かりやすい。
テーマ!そうなんです。なんだか内容にしっくりこないと思われる、この邦題(何も崩壊してないように見えますからね)。「美しい絵の崩壊」がぴったりくる瞬間は、まさにここなんです。
このテーマを考える時に、「インモラルだけど美しく切ない話」という絵が崩れる。すみません、さっきそのことに漸く気付きました(笑)
息子達の、母親達の、愛情が向かっている先は本当は違う。
閉じ込めらた愛は、そこにしか行きようがなかったんです。
でも私がここで崩すのはどうも無粋に思えるので、皆様それぞれに本作を観て、ボロボロに崩してください。どうぞ、宜しくお願いします。