「被害者に救い、犯人に報いを。」ソウォン 願い ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
被害者に救い、犯人に報いを。
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今作がどんな内容であるかも知らずに観て、面喰ってしまった。
何と酷い、恐ろしい性犯罪の被害者である一家の話なのだが、
これが実話で、8歳の少女がこんな目にあったことが許せない。
最近の日本も性犯罪が後を絶たず、それが幼女の連れ去りや
強殺事件であったりすることからも全く他人事では済まされない。
事件のおぞましさから、逮捕までの経緯を描く話かと思いきや、
あくまで監督はこの一家の再生に焦点を当てている。実に平凡な
普通の(やや中流以下なのだろうか)家庭であり、父母と娘の3人。
頭がよく機転の利く娘がある雨の登校時、不審者に連れて行かれ
暴行を受け瀕死の重傷を負う。身体にも心にも大きな傷が残った
我が娘を救おう励まそうと必死な両親をよそに、無罪を主張する
犯人の男。殺してやりたいほど狡猾で残忍な顔を持つ変態男だ。
父親は逮捕に協力する一方、男性が恐怖の対象トラウマとなった
娘のメンタル安定を目指し(日本でいうならゆるキャラか)被り物を
駆使して娘を宥め癒し続ける。これがもう、必死だけに泣けてくる。
どうして被害者側がここまで世間の噂や晒し者の対象になるのか。
解せないのと同時にやるせなく、これがもし我が家族にだったらと
胸やけがする始末。しかし今作にはその異常性を翻すほど愛らしい
娘の笑顔が広がっている。この豊かさと幸福を齎す精神力の強さ。
幸せに生きることが最大の復讐と、希望を糧に生きる家族が逞しい。
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