「映画という経験」リスボンに誘われて シーナマサヨシさんの映画レビュー(感想・評価)
映画という経験
映画らしい映画、2時間ほどの時間で「別の人生の時間」を味わうという映画の贅沢を満足させてくれる映画、深く染み入る映画。
幾重にも重なった人生と時間とを、見事に一つの物語に作り上げた作品。
映画、映像の持つ可能性と想像力と情熱がこの作品には結実している。
一冊の本、一人の絶望した女性、一つの革命、一人の老年の男。
それぞれ小さな「一つ」だった物事が、大きな「一つ」へと昇華していく。
人の歴史を、その絶望と希望を、その蹉跌を、その諦めを、その重荷を……素晴らしいキャストが、監督の理想を具現化したとしか思えない。
重厚で軽やか、複雑でシンプル、暗いのに希望に溢れる、絶望的で温かい。
たくさんの矛盾を一つの作品に紡ぎあげたスタッフの全員に感謝したくなるような
「経験」と呼びたくなるような111分の鑑賞時間でした。
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