「偽善者をイーライ・ロスが食い殺す!」グリーン・インフェルノ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
偽善者をイーライ・ロスが食い殺す!
森林伐採の横暴を世に訴えようと未開のジャングルに赴いた学生たちを食人族が襲う…!
1981年に製作された「食人族」をモチーフに(タイトルの“グリーン・インフェルノ”もここから)、現代グロホラーの鬼才、イーライ・ロスが蘇らせた食人ホラー映画。
イーライ・ロス×食人なのだからホラーファンにとっては熱狂モノ、そうでもない者にとっても興味は尽きない。
何と言っても“お食事シーン”が最大の見所なので、前半はちとタルい。
何だかちょっと鼻につく学生たちの抗議運動。
周囲の反対を押し切って参加するヒロイン。
案の定現地で一波乱あったものの一応抗議運動は上手くいったが、帰路の途中エンジントラブルでジャングルに墜落。
その際の前菜(墜落のグロ描写)もそつなく用意し、生き残った一行は食人族に囚われ、いよいよメインディッシュ!
さすがのイーライ・ロス印、容赦ないカニバリズム!
目玉をえぐり、舌を切り取り、手足・頭部切断した後、丸焼き。
それを美味しそうにパクパク、パクパク。
食べ方も様々で、集団で生きたまま襲い食い。
その行為は恐ろしいというより、やり放題の悪趣味全開で、何故かちょっと笑えてもくる。
でもとにかくグロいので、こういう作品が苦手な方は例え興味本位でも見ないように。
単なる悪趣味な食人ホラーだけじゃなく、痛烈な皮肉も込められている気がした。
確かに人が人を食う行為はおぞましいが、食人族にとってのその行為は、普通の人が豚や牛という獲物を食べるそれと変わりない。
普通の人だって豚や牛を食べる。豚や牛にしてみれば、人間はいつだって野蛮。
主人公たちの抗議運動の目的は、文明に抹殺されようとするヤハ族を救う為。実は、そのヤハ族が食人族なのだ。
救おうとする相手に襲われるという不条理。
抗議運動の裏事情。
暴露したある人物のクズゲスっぷり。
そもそも、志低い抗議運動などただの偽善でしかない。
そんな奴らを、イーライ・ロスが食い殺す!