「人はみんなゲスなのか」ゴーン・ガール shinさんの映画レビュー(感想・評価)
人はみんなゲスなのか
「セブン」以来、フィンチャーの作品に魅了され、出来るだけ彼の映画は観てきたつもり。暗い雰囲気の中、理不尽やら不条理やらの話で救いのない作品が多いイメージだった。本作も公開当時、前評判が高く、ずっと観たかった映画で、ようやくCSで観ることができた。
感想を先に言うと(わたしの期待値が高かったのか)期待外れだった。
他人の人生は所詮ワイドショー。人の不幸は蜜の味。人のえげつない深層心理をここまで具現化されてしまうと、途中途中観るんじゃなかったと思わせる、それがフィンチャーの映画だとわたしは理解しているのだけれども。
それにしてもエイミーの心情を理解しようとすればするほど、なんでそこまでするの、って思ってしまう。で、それだからって女って怖い、なんて思いませんよ。
自己愛強すぎて悲劇のヒロイン病だったとしても、逃げ続けて何がしたかったんだろう。ニックを悪者にして世間の同情を買いたかったの?途中でお金奪われなかったらどうしてたんだろう。逃走中、状況が変わっていくわけだから、当初の予定、目的も当然変わっていくわけだよね。まさか本当に自殺してニックを犯罪者に仕立てようとしてたんかな。
自分が何かを見逃しているのか、正しく理解、解釈していないのか、エイミーの考えは解せないことが多かったです。
原作もあるそうで、読んでいれば当然理解度も違ってくるのでしょうが、もう一度観たいかと訊かれたら、もう結構です、と答えます。
もっとやるせないくらい不条理かつ理不尽なテーマを期待していたのですが、これじゃなんだかワイドショーの拡大版2時間再現ドラマを見た気分だよ。
まあそれがフィンチャー監督の狙いなんだとしたら、してやられたって感じで益々ファンになりますね。