「好きな映画の話で、必ず話題に挙げる映画の一つ。」チョコレートドーナツ shotamalさんの映画レビュー(感想・評価)
好きな映画の話で、必ず話題に挙げる映画の一つ。
学生の頃、友人も恋人も連れずになんとなく初めて1人で映画館に立ち寄った際、
偶然観た映画がこの映画で本当に良かったと、今でも幸運に感じる。
誰かと一緒に観るというよりは、1人でじっくり観るべき映画だったから。
アラン・カミング演じるルディは、観ているうちに女性にしか見えなくなる。
彼の纏う雰囲気、溢れる母性が、
どの女性よりも女性らしく、強く、温かく、そしてとても美しいと感じる映画だ。
彼のその演技、歌唱力はこの映画の見どころであること間違いなし。
そして私もいつかルディのような、真っ直ぐな愛のある「母」になりたいと、強く思う映画だった。
マルコ、ルディ、ポールの3人は、周りからしたら少しばかりいびつな家族に映るかもしれない。
「1人の人生の話だ。
あんたらが気にも留ない人生だ」
裁判官、検察官、ポールの元上司、そしてマルコの戸籍上の母親・・・。
法に則り、固定概念に縛られ、正義を振りかざしているつもりで真実の愛を見ようとしない、見ることができない哀しい人たち。
本当は彼らにとって、マルコの人生とは、この裁判が終わったら「気にも留めない人生」でしかないのなら。
これまで数え切れないほど裁いてきた、ちっぽけな人生の一つでしかないのなら。
どうかそんな必死になって引き裂こうとしないで。
偏見や差別で彼らを隅に隅に追いやって、世の中から弾き出したのは誰?
それは偏見や差別を持つ彼らのような人々だ。
彼らによって弾き出された先で、世の中の隅っこで、やっと見つけることの出来たささやかな幸せだ。
それなのに、これ以上何を奪いたい?
どうすれば気が済む?
マルコの死は、マルコを死に追いやった彼らに束の間の罪悪感を与えるかもしれない。
しかししばらくするとそんなことなど忘れて、マルコの人生など「気にも留めない人生」の一つとして記憶の奥に埋もれていくのだろう。
マルコの死が彼らに与える影響は、残酷で悲しいことにその程度のものなのだろう。
あまりに残酷なラストの傍ら、チョコレートドーナツを頬張ったマルコの笑顔を思い出す。
映画や小説のバッドエンドというものは嫌いではない。
しかしマルコの人生は、どうしてもハッピーエンドであってほしかった。
shotamal さん! コメントありがとうございました。そして、お帰りなさい! 臨床研究と聞いていたので、年が明けてから、ずっとお忙しいのだろうな、と思っていました。ほんの少しでも楽になっていたなら、と思いますが、いかがでしょうか?
この映画は、ホントによかったです!
> 「1人の人生の話だ。あんたらが気にも留ない人生だ」
ほんとにいい映画でした。shotamalさんに薦めてもらってからしばらくたってしまいましたが、3月末にキネカ大森がかけてくれたので、晴れて観ることができました。そして...マルコ、うますぎました~!
心から感動することができました。教えてくれて、本当にありがとうございました。
ぺんたさん
コメントありがとうございます!
上映規模が小さかったせいか、私の周りにはこの映画を知らないという人が多いです。
同じく映画館で一人涙を流した方と共有できて嬉しいです(^^)
僕もこの映画を一人で見ました。
世の中の理不尽さにボロ泣きでそれでも、今生きているということの大切さに改めて気付かされるそんな映画でした。
大好きな映画の一つです。