「いつもと同じ感じ」グランド・ブダペスト・ホテル 古泉智浩さんの映画レビュー(感想・評価)
いつもと同じ感じ
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今回はストーリーがあるから面白いとの評判で、リバイバル上映で見た。伊勢丹カードがあったので割引で500円だった。
まず語り手が、現在ホテルに宿泊している作家で、彼がホテルのオーナーである元ベルボーイに聞いた、コンシェルジュについての話、というのがとてもややこしい。誰が語っているのか分からなくなる。
それで、戦争の混乱期に遺産相続をめぐって投獄されたりいろいろあってホテルを所有するに至るという話だった。監督の美意識が徹底していて、息苦しかった。醜い物や無駄なもの、オシャレじゃないものを排除するような、顔にアザがある女も美しく描かれており、そんな世界観をオレは醜いと感じるのですごく嫌だった。刑務所の中すら汚さがオシャレで居心地がよさそうにしか見えない。
話も別に面白くもなんともなく、退屈はいつもよりは少なかったけど、何も得るものも感じるものもなかった。オシャレな世界は息苦しいし、そこにオレみたいなものの居場所は皆無であるとしか感じなかった。映画の内容ではなく、そんな作風に悲しい気分になる。
前にもアンダーソン監督の作品は二度と見ないと思ったのだけど、やっぱりもう二度と見なくていいやと思った。でもオレは何も排除したいとは思わないので、アンダーソン監督が自由に作品を作る世界を大切にしたいと思う。オレはもう見ないけど、皆さんには見に行って欲しいし、そうして映画産業を盛り上げてほしい。
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