「人生の可笑しさ、面白さ」グランド・ブダペスト・ホテル Nijntjeさんの映画レビュー(感想・評価)
人生の可笑しさ、面白さ
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第二次世界大戦前のヨーロッパ(国としてはズブロフカ共和国という架空の国だが)が舞台、しかもステファン・ツヴァイクに影響を受けた作品とあってもう少し重苦しい話かと勝手に想像していたが、全く違った。あるホテルマンとその助手の大冒険譚で、ジェットコースターのようにストーリーがどこに転がるか分からない面白さ、それを生真面目に演じる豪華俳優陣(世界的に売れる前のレオ・セドゥもいる!)に引き込まれ、最後まで飽きることがなかった。
時代が何層にも重なる物語構成、画面に向かって早口で長台詞を話す俳優たち、カラフルでポップな舞台装飾等、ウェス・アンダーソン監督の映画作りの拘りがこれでもかというほどよく出ており、ひと目見たらこの監督の強烈な個性を忘れることはできない。
結局最後は何が言いたいのか分からないという人もいるかもしれないが、個人的にはこの映画から、(グランド・ブダペスト・ホテルのように)栄華を極める人・物も最後は廃れるのであり、万物には始まりがあって終わりがあるという諸行無常を感じ、儚いからこそ人生は面白いのだということを再確認する機会になったように思う。ちょっと考えすぎかもしれないが。
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