「あの夏、彼女が水辺に立っていた。」思い出のマーニー ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
あの夏、彼女が水辺に立っていた。
わー、泣いたー。泣かされましたよー。ボロボロ泣かされましたよー。めちゃくちゃ良かったッスよー、これ。
完全に油断してました。ジブリ、こう来ましたかと。
や…だってねえ?これ普通に泣くでしょう。ダブルヒロインで。あんなにノスタルジックで。ファンタスティックで。繊細な手触りで。「愛してる」なんてストレートに言ったり言われたりして。ミステリーから壮大な愛の物語に転じたりして。
今迄のジブリにこの質感、テイストってなかったですよね。宮崎イズムを全く感じないというか、高畑感も漂わない、ジブリであってジブリでないというか。いやまあ正真正銘ジブリなんですけど、だけど二大巨頭から離れた新たな跳躍というか。
いやあ自分ジブリで本格的に泣かされたのは三回目ですよ。しかも二年続けて。『風立ちぬ』と『かぐや姫の物語』と『思い出のマーニー』で連続ノックアウト。
「泣かされたからイイ映画」なんて言うつもりは全くないですけども、今回は余りにも、こう「愛」が全面に出てくるというか。
それは押し付けじゃなくて、隣に立って寄り添ってくれる類の「愛」というか、辛い時には躊躇なく抱き締めてくれる類の「愛」というか。
兎に角ね、主人公『杏奈』の境遇がひたすらに哀しいんですよ。12歳の幼さで誰にも言えない苦しみを独り抱えている彼女は、毎日それに押し潰されそうになって生きている。誰にも愛されていないと感じながら生きている。だけど突然、杏奈の目の前に現れた『マーニー』に、迷いなく純粋に「大好き」「愛している」と言い切られて。杏奈は感じたことのない安堵感を得る。
だけど…マーニーは一体何者なのか。何故マーニーは杏奈を無条件に好いているのか。そしてこれは現実なのか。それとも幻想なのか。ただの妄想か。
後半クライマックス、本当の真実を知った時には、もう駄目ですよ。杏奈も観客も涙腺決壊。ガチ泣きです。
これからもずっと付き合っていく作品になりそうです。何回も観続けたいし、何回も観るんでしょう。ジブリ映画の新たなスタンダードだなあ、と。五つ星。