「ヒロイン杏奈の心の成長物語が快い感動を呼ぶ」思い出のマーニー Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
ヒロイン杏奈の心の成長物語が快い感動を呼ぶ
昨年の夏は信じられないような記録的な大ヒットを飛ばした『風立ちぬ』、そして晩秋に入ると『かぐや姫の物語』を相次いで公開したスタジオジブリ
さて今年の夏は何を魅せてくれるのか?と少しばかり緊張していた私です。何故かと言えば昨年の2作品共に落胆したからです。
しかし、そんな心配をよそに、この夏の本作品はやってくれました、文句なく良かったあ~!
だが一事お断りして置きたい点は、この作品はアニメといっても、園児や小学生向きの作品ではないので、中学生以上の方々向けの作品でしょうね。
物語は、この作品のヒロイン杏奈が学校でクラスに馴染めず、それを心配した母親が、夏に親戚の住む田舎の家で杏奈を療養させるお話。そんな彼女が体験する一夏の不思議な夏の思い出と、心の成長を描いた物語として感動出来る作品です。
正直本作も少しばかり観ていて重い感じはする作品ですが、昨今、様々な悩みを抱える多くのティーンエイジャーの方々には、色々と共感出来る部分の多い作品だと思いました。
そして勿論ジブリ制作なので、画は綺麗で海辺の田舎町のゆっくりと流れる時空間が快い作品でした。
終盤は、「やっぱりね、そう言う事だよね」と言う矛盾の無い、気持ちの良いラストになっていて後味の良い作品でした。
正直昨年公開されたジブリの2作品は、確かに大御所監督のお二人の作品とはいっても全く感情移入出来ない作品でした。
特に宮崎監督作品の中にはゼロ戦の設計者の堀越二郎と文学者の堀辰雄と言う2人の人物像を一人の人物に組み立てるところで、主人公の人物描写が不自然になっていた。その為に全く映画の主人公にリアリティーが無く、人物像が希薄でアンバランスな映画になっている。
左翼思想の反戦家の宮崎監督が、そもそもゼロ戦の設計者の話をファンタジーで描き出すと言う企画自体に無理があったと思うけれど、監督が個人的にどう言う思想の持ち主で有るかは、作品の評価には関係が無いので、それを指摘するつもりは、毛頭ない。
「風立ちぬ」は世間では高評価でしたし、興行的にも大ヒットしたと言う事は、今の経済低迷の時代で、ヒット作を制作したと言う点に於いては多いに評価出来る作品です。
個人的には私の場合は「風立ちぬ」の評価は1、そして「かぐや姫の物語」の評価も1を付けました。
しかし、今回の作品は文句無く4を付けたいと思う!4.5でも良いかも知れないが、アニメ作品なら、もう少し楽しく遊びの部分を取り入れた感動作品であって欲しかったと思うので、厳しいかもしれないが星は4つにしました。
実写版が続いて出来ても良い原作なのにと思うのは、私の身勝手と言うものでしょうか?