悪童日記のレビュー・感想・評価
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異端の鳥だね。
異端の鳥とテーマは一緒だが、どちらもありえない話として見た場合、こちらのほうが更にあり得ない。
戦争の悲惨さである必要が無い。それであるならば、ナチス・ドイツとかハンガリーの社会主義とかを話に盛り込まなければ良かったと感じる。
双子のサイコキラーと言ったオカルトな話になってしまっている。
異端の鳥もそう言った所はあったが、異常なまでにサディスティックだった。つまり、常に虐げられる側に徹していた。しかし、この作品のストーリー展開はサディスティックな雰囲気を醸し出しながらも、虐げて行く『たくましい』と言うよりも『キタナイ』とどうしても思えてしまう。親の愛情、家族の絆、愛なんか必要ないと分からしめるためなのか?あまりにも酷たらいだけで、見たあとオカルトな恐怖が残るだけ。
戦時下疎開先で生き抜く双子の物語
イメージとしては火垂るの墓のような印象か。理不尽な場面と双子のドライな性格により、双子への感情移入はそこまでできないが、退屈はそこまでなく楽しむことができた。登場人物皆、好感度を持てる登場人物がいないことにリアルさを感じる。一人だけ劇を通じて精神性の成長もしくは改心を感じられた人物がいる。彼女を見ていると、口は悪くとも行動で示すことの価値と、過去に囚われ踏み出せずくすぶり続ける人間の悲哀を思う。悪童さは解釈の問題だろうが感じることは無かった。最後の双子の選択には映画中に説明が無かった。今までの生き方が不要になり、過去と決別し新しい生き方に入るということだろうが、説明が欲しかった。
暗い雰囲気だが、婆ちゃんや隣の少女ほか周りの人々のキャラが立ってた...
暗い雰囲気だが、婆ちゃんや隣の少女ほか周りの人々のキャラが立ってた。グロイ表現もあったが、テンポがよいせいかスッキリと見られた。
魔女とメス犬の子供たち
第二次大戦下のハンガリー。戦火から逃れる為、双子の兄弟は田舎の祖母の家に預けられ…。
戦時下の子供を主役にした映画は珍しくないが、感動やハートフルな要素は一切微塵もナシ。
過酷さ、悲惨さ、不条理さは『火垂るの墓』に匹敵し、冷徹で重苦しい人間ドラマはホラーかミステリーのような異様な雰囲気。
双子を襲う辛く苦しい日々。
周囲から“魔女”と呼ばれる祖母。優しさの欠片も無く、双子に重労働を強いる。自分の娘の事を“メス犬”と呼び、その娘が産んだ双子の事を“メス犬の子供”と呼ぶ。
周囲の大人たちに何度殴る、蹴るを受けた事か。痛々しい痣、傷、暴行を受ける様は見るに堪えない。
盗人を追い掛けるも、逆に盗人呼ばわり。
双子の苦境に見ていて本当に胸が痛いを通り越して胸糞悪くなる。
この双子は潤んだ瞳で擁護を求めたりしない。
過酷で辛い日々にどう打ち勝つか。
強くなるしかない。
生きる為には盗みをもする。
お互いを殴り合い、ベルトでぶち合い、痛みに慣れようとする。
もはや狂気すら感じる。
子供の順応力と言うか、この苦境での成長、逞しさは驚くべきものだ。
やがて待ち望んだ母が迎えに来る。夫とは別の男との間に産まれた妹を連れて。
母親に連いていくか、ここに留まるか、双子が選んだのは…。
別に祖母に情が沸いたとかここでの生活が好きになったとかではない。
子供心に察したのだろう。
ここに留まり、ここで生きていくしかない事を。
母親が祖母が言うように“メス犬”である事を…。
双子が笑顔を見せる事は無い。
やがて祖母が他界する。
出兵していた父が迎えに来る。その父をある場所へ連れていく。
魔女の孫たち。言うなれば、悪魔の子か。
過酷で苦境の時代、生きていくには子供でさえ悪魔にならなければならないのか。
逞しい双子の生きる執念
重苦しい暗い感じかと思いきや意外にサラァーと楽しく観れた。
双子の成長に冷静さ残酷さなどの感情が芽生えアッサリ行動する事柄に逞しさまで感じるが末恐ろしい双子で大人になったらと思うと怖い。
意地悪で冷たい婆さんに好感が持てた。
暗い
原作よんでたので知ってたけど、
暗かった〜
映画としてはなにがいいたかったんだろ…
ひとつひとつのエピソードがけっこう強烈でしたが、
全体を思い返すといまいちなんだったのかわからない
原作はけっこう軽く読めたのに
映像にするとラストとかも救いようがないかんじでした
酷美
残酷にも美しい作品だと思った。
戦争に巻き込まれていく中、正常に機能しない大人たちに振り回され、自分の足で立って歩いていくことを余儀無くされた双子の物語。
テンポが早く、しかし決して不愉快じゃない、むしろ丁度良い間。
含みを持たせつつ進んでいくストーリーに目が離せない。
戦争は味わったことがないし、これからも味わいたくないが、その時代最も振り回されたのは何も知らない子どもたちなのだろうと改めて思わされた。
生きることの美しさと儚さと残酷さ。
原作も是非読みたい。
そして続編を希望している。
キャストも演出も素晴らしい
昔ハマった原作の映画化ってことで、期待半分、不安半分で見たんだけど、原作のイメージを裏切らないハイレベルな出来だった。周囲の大人たちとの関わりが触りしか描かれないせいで、双子の行動原理の驚異的な仕上がり具合が原作に比べて伝わりにくい感じはあったけど、上映時間を考えればむしろよくまとまっていたと思う。雰囲気作りも秀逸で比較的淡々とした演出なのにフワッと世界に引き込まれる感じがとても好かった。
昔、小説を三部作全て読みました。悪童日記だけは記憶にあるのだが、そ...
昔、小説を三部作全て読みました。悪童日記だけは記憶にあるのだが、その後の2作は、裏を書き続ける感じしか覚えていません。本を読み返す元気はないので、映像化して欲しいな。無理かな。
絶望しかない
原作3部作の内、1作目を映画化したもの。
原作を読んだことが無いので、これからどうなるか分かりませんが、とにかく暗い!
登場人物達は総じて陰湿であり、優しいと思ったら裏があり、良い意味で観客は裏切られます。主人公である2人の双子は、今回の映画が初主演初演技とのこと。なので、またリアルなんです。とてもテンションが下がるので、覚悟して観た方がいい1作。続編希望です。
キャスティングの勝利
原作の世界観に忠実に描かれている。原作では時代も国も曖昧だったが、映画では視覚化する以上具体的にせざるを得ず、限定的になってしまったとはいえ、しかしそれで本質を損なうものではない。
主要キャラクターがほぼ原作のイメージ通りで、キャスティングが見事だった。悪童たちもよかったがお婆さんの存在感、さらに裂唇の少女がまさに小説の世界そのもので、これが評価を高めた最大の要因だ。
監督の原作愛
上映期間が短く、二回目は見れなかったけどもう一度見たい映画。
何かが欠落している人間達の描き方がさりげなく、大げさではないところが緊張感を持って見られる秘訣だと思った。
何も起きないといえば起きない。
強くなるとは、1人になることなのか。
レイトショーで見たかった。
低温火傷的
人間のイヤーな部分、醜い部分、見たくない部分を戦時下という状況化で双子の兄弟の目線から描く。
こんな環境では、そりゃ無垢だった子供たちも荒んでいくのは無理ないですね。
静かに、淡々と、一見地味に描いているが、見事な演出と撮影で、ジワリジワリと悪意を炙り出していき、匠の技を感じます。
低温火傷的な作品です。結構好みですね。
雰囲気悪い
双子の少年が戦争時代をサバイバルするために、苦痛や空腹に耐えるための特訓をするというのがすごく面白いし、胸打つのだが、描写が非常に淡々としているためか、あんまりエキサイティングじゃない。フラットというか突き放した目線で描いているため、全然お涙ちょうだいではなく、応援したい気持ちにもあまりならなかった。
子供の無知で、お姉さんを爆弾で殺しかけたりと残念な行動をとってしまうし、お婆さんともお互い心の通わせ方が下手すぎて、お互いつらそうだった。お父さんに見せるために日記をつけていたはずなのに、戦争から戻ったお父さんには全然なつかず日記もみせなかった。お父さんもお父さんでお婆さんにろくに挨拶せず感じが悪かった。あの国はそういうのが常識なのだろうか。「挨拶がない」と文句を言う場面はあったのだが、誰もまともな挨拶をしている場面がなかった。
お婆さんの死に方がとても潔くてかっこよかった。
となりの女の子が泥棒で三口で、レイプされて死んでしまうとか、行き倒れの人が後で凍死してるとか、非常に容赦ない描写はよかった。お父さんが地雷で死んでしまってその後双子が別々の方向に行く場面はうとうとした。
美しく残酷な双子
何より双子が美しいです
瞳で全てを語ります
このストーリーが双子でなければ成り立たない理由はラストシーンで明らかになります
余りにも双子の発想が現実離れしていて正直共感は出来ません
でも、もしもこの世界の何処かにこの双子が実在したなら、全力で手を差し延べたくなってしまうでしょう
純真無垢だった双子を変えてしまったのは戦争であり大人です
この物語にまともな大人は僅かです
とても哀しい物語です
哀しい世界を生き抜く為に、親だけでなく双子の絆まで絶ってしまいます
非常に重く哀しいメッセージを秘めたこの映画、私はおすすめです
どん底の映画
内容は、よしたださんという方のレビューが的確と思われ、そちらを読めば十分ですので、私は雑感のみ。
かなり暗い作品です。
原作の作家はとことんまで人間に絶望した方なんでしょうね。
ここまで落ち込む映画も久々です。
映画的につまらない、下手ということは全くなく、テンポも良くカットも凝っており、音響効果は素晴らしいです。
しかし、ラストも含めてあそこまで救いが無いとき、それでも人間に生きる意味はあるのでしょうか。
何があっても生き抜くという、ヨーロッパの特に厳しい環境からくる生存本能、個人主義の極北のような気がして、うすら寒い感じを受けました。
ラストの衝撃が凄い
あらゆるシーンに衝撃をうけた。
戦争というものは、子供が子供であることから乖離させてしまい、心を家族から分離させてしまうものなのだろうか。
あんなに慕っていた父母を、他人を見るような目で。
父母にとっては確かに「魔女」に魔法でもかけられたかのように、我が子が他人のように思えただろう。
親子の再会の場面、一般の人が想像するのは温かい抱擁ではないだろうか。
双子の預け先の、祖母による冷たい仕打ち。残酷な虐待はなかったが、双子らは自ら様々な試練を課し、苦痛に耐えることで強くなろうとする。
削るような行為を繰り返し、せっかく純粋だった心を自ら穢していく様子が胸に痛い。
彼らの「正義」の定義は、シンプルで残酷だ。
盗みを働いたら女性であろうと容赦なく殴るし、優しくしてくれたユダヤ人を密告した女性にはひどい制裁を加える。
しかし、疎開中にそういった様々な人から学び取った善悪の指標は、父母には適用されなくてもいいはずなのに。疎開前は愛情たっぷりで中睦まじかった親子なのに、無邪気な愛情を失ってしまった様子が、頭に疑問を、胸にしこりを残した。
父母と再会する時期が過酷すぎたということだろうか(おそらく1年ほどしか経っていない気がするが)。
確かに戦時中子供のそばにいなかったこと、それが罪とは言えるかもしれない。
更に加えれば、母親は結果的に祖母のいう通り「牝豚」と呼ばれる行為をしていたわけだ。
祖母の家は自立して勝ち取った双子の砦であり、そこに見ず知らずの男性とその果実をもって現れた母親は、彼らにとって異物でしかなかったのかもしれない。
「最後の訓練」。地雷原に追いやった父親の背中を踏みつける息子。
フィクションだから、というだけではやりきれない展開。
双子の世界には「何も期待するな」という標榜が掲げられ、二人で勝ち取ってきた世界しか価値あるものはない。
冒頭で母親が話していた「双子は目立つ」という台詞が、彼らの頭によぎったのだろうか。
それとも彼らにとって戦争はまだ終わらないものなか。
二人はどこへ行き着くのだろう…。
不穏な胸騒ぎだけを残して、映画は終わる。
この映画、最初は敵対していた祖母とまるで戦友のような情愛を交わしていたのが救いだった。
双子は素人だが、二人の出自の貧しさが造り出す剣呑とした雰囲気が、演技力の拙さを補ってあまりまると思う。
何か起こる度に不穏な響きを醸し出す銅鑼の音のような演出も良い。
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