悪童日記のレビュー・感想・評価
全30件中、1~20件目を表示
異端の鳥だね。
異端の鳥とテーマは一緒だが、どちらもありえない話として見た場合、こちらのほうが更にあり得ない。
戦争の悲惨さである必要が無い。それであるならば、ナチス・ドイツとかハンガリーの社会主義とかを話に盛り込まなければ良かったと感じる。
双子のサイコキラーと言ったオカルトな話になってしまっている。
異端の鳥もそう言った所はあったが、異常なまでにサディスティックだった。つまり、常に虐げられる側に徹していた。しかし、この作品のストーリー展開はサディスティックな雰囲気を醸し出しながらも、虐げて行く『たくましい』と言うよりも『キタナイ』とどうしても思えてしまう。親の愛情、家族の絆、愛なんか必要ないと分からしめるためなのか?あまりにも酷たらいだけで、見たあとオカルトな恐怖が残るだけ。
戦時下疎開先で生き抜く双子の物語
イメージとしては火垂るの墓のような印象か。理不尽な場面と双子のドライな性格により、双子への感情移入はそこまでできないが、退屈はそこまでなく楽しむことができた。登場人物皆、好感度を持てる登場人物がいないことにリアルさを感じる。一人だけ劇を通じて精神性の成長もしくは改心を感じられた人物がいる。彼女を見ていると、口は悪くとも行動で示すことの価値と、過去に囚われ踏み出せずくすぶり続ける人間の悲哀を思う。悪童さは解釈の問題だろうが感じることは無かった。最後の双子の選択には映画中に説明が無かった。今までの生き方が不要になり、過去と決別し新しい生き方に入るということだろうが、説明が欲しかった。
魔女とメス犬の子供たち
第二次大戦下のハンガリー。戦火から逃れる為、双子の兄弟は田舎の祖母の家に預けられ…。
戦時下の子供を主役にした映画は珍しくないが、感動やハートフルな要素は一切微塵もナシ。
過酷さ、悲惨さ、不条理さは『火垂るの墓』に匹敵し、冷徹で重苦しい人間ドラマはホラーかミステリーのような異様な雰囲気。
双子を襲う辛く苦しい日々。
周囲から“魔女”と呼ばれる祖母。優しさの欠片も無く、双子に重労働を強いる。自分の娘の事を“メス犬”と呼び、その娘が産んだ双子の事を“メス犬の子供”と呼ぶ。
周囲の大人たちに何度殴る、蹴るを受けた事か。痛々しい痣、傷、暴行を受ける様は見るに堪えない。
盗人を追い掛けるも、逆に盗人呼ばわり。
双子の苦境に見ていて本当に胸が痛いを通り越して胸糞悪くなる。
この双子は潤んだ瞳で擁護を求めたりしない。
過酷で辛い日々にどう打ち勝つか。
強くなるしかない。
生きる為には盗みをもする。
お互いを殴り合い、ベルトでぶち合い、痛みに慣れようとする。
もはや狂気すら感じる。
子供の順応力と言うか、この苦境での成長、逞しさは驚くべきものだ。
やがて待ち望んだ母が迎えに来る。夫とは別の男との間に産まれた妹を連れて。
母親に連いていくか、ここに留まるか、双子が選んだのは…。
別に祖母に情が沸いたとかここでの生活が好きになったとかではない。
子供心に察したのだろう。
ここに留まり、ここで生きていくしかない事を。
母親が祖母が言うように“メス犬”である事を…。
双子が笑顔を見せる事は無い。
やがて祖母が他界する。
出兵していた父が迎えに来る。その父をある場所へ連れていく。
魔女の孫たち。言うなれば、悪魔の子か。
過酷で苦境の時代、生きていくには子供でさえ悪魔にならなければならないのか。
逞しい双子の生きる執念
暗い
原作よんでたので知ってたけど、
暗かった〜
映画としてはなにがいいたかったんだろ…
ひとつひとつのエピソードがけっこう強烈でしたが、
全体を思い返すといまいちなんだったのかわからない
原作はけっこう軽く読めたのに
映像にするとラストとかも救いようがないかんじでした
酷美
キャストも演出も素晴らしい
絶望しかない
キャスティングの勝利
監督の原作愛
低温火傷的
雰囲気悪い
双子の少年が戦争時代をサバイバルするために、苦痛や空腹に耐えるための特訓をするというのがすごく面白いし、胸打つのだが、描写が非常に淡々としているためか、あんまりエキサイティングじゃない。フラットというか突き放した目線で描いているため、全然お涙ちょうだいではなく、応援したい気持ちにもあまりならなかった。
子供の無知で、お姉さんを爆弾で殺しかけたりと残念な行動をとってしまうし、お婆さんともお互い心の通わせ方が下手すぎて、お互いつらそうだった。お父さんに見せるために日記をつけていたはずなのに、戦争から戻ったお父さんには全然なつかず日記もみせなかった。お父さんもお父さんでお婆さんにろくに挨拶せず感じが悪かった。あの国はそういうのが常識なのだろうか。「挨拶がない」と文句を言う場面はあったのだが、誰もまともな挨拶をしている場面がなかった。
お婆さんの死に方がとても潔くてかっこよかった。
となりの女の子が泥棒で三口で、レイプされて死んでしまうとか、行き倒れの人が後で凍死してるとか、非常に容赦ない描写はよかった。お父さんが地雷で死んでしまってその後双子が別々の方向に行く場面はうとうとした。
美しく残酷な双子
何より双子が美しいです
瞳で全てを語ります
このストーリーが双子でなければ成り立たない理由はラストシーンで明らかになります
余りにも双子の発想が現実離れしていて正直共感は出来ません
でも、もしもこの世界の何処かにこの双子が実在したなら、全力で手を差し延べたくなってしまうでしょう
純真無垢だった双子を変えてしまったのは戦争であり大人です
この物語にまともな大人は僅かです
とても哀しい物語です
哀しい世界を生き抜く為に、親だけでなく双子の絆まで絶ってしまいます
非常に重く哀しいメッセージを秘めたこの映画、私はおすすめです
どん底の映画
ラストの衝撃が凄い
あらゆるシーンに衝撃をうけた。
戦争というものは、子供が子供であることから乖離させてしまい、心を家族から分離させてしまうものなのだろうか。
あんなに慕っていた父母を、他人を見るような目で。
父母にとっては確かに「魔女」に魔法でもかけられたかのように、我が子が他人のように思えただろう。
親子の再会の場面、一般の人が想像するのは温かい抱擁ではないだろうか。
双子の預け先の、祖母による冷たい仕打ち。残酷な虐待はなかったが、双子らは自ら様々な試練を課し、苦痛に耐えることで強くなろうとする。
削るような行為を繰り返し、せっかく純粋だった心を自ら穢していく様子が胸に痛い。
彼らの「正義」の定義は、シンプルで残酷だ。
盗みを働いたら女性であろうと容赦なく殴るし、優しくしてくれたユダヤ人を密告した女性にはひどい制裁を加える。
しかし、疎開中にそういった様々な人から学び取った善悪の指標は、父母には適用されなくてもいいはずなのに。疎開前は愛情たっぷりで中睦まじかった親子なのに、無邪気な愛情を失ってしまった様子が、頭に疑問を、胸にしこりを残した。
父母と再会する時期が過酷すぎたということだろうか(おそらく1年ほどしか経っていない気がするが)。
確かに戦時中子供のそばにいなかったこと、それが罪とは言えるかもしれない。
更に加えれば、母親は結果的に祖母のいう通り「牝豚」と呼ばれる行為をしていたわけだ。
祖母の家は自立して勝ち取った双子の砦であり、そこに見ず知らずの男性とその果実をもって現れた母親は、彼らにとって異物でしかなかったのかもしれない。
「最後の訓練」。地雷原に追いやった父親の背中を踏みつける息子。
フィクションだから、というだけではやりきれない展開。
双子の世界には「何も期待するな」という標榜が掲げられ、二人で勝ち取ってきた世界しか価値あるものはない。
冒頭で母親が話していた「双子は目立つ」という台詞が、彼らの頭によぎったのだろうか。
それとも彼らにとって戦争はまだ終わらないものなか。
二人はどこへ行き着くのだろう…。
不穏な胸騒ぎだけを残して、映画は終わる。
この映画、最初は敵対していた祖母とまるで戦友のような情愛を交わしていたのが救いだった。
双子は素人だが、二人の出自の貧しさが造り出す剣呑とした雰囲気が、演技力の拙さを補ってあまりまると思う。
何か起こる度に不穏な響きを醸し出す銅鑼の音のような演出も良い。
全30件中、1~20件目を表示