「人の純粋さをスウェーデンのPOPな雰囲気に乗せて」シンプル・シモン もしゃさんの映画レビュー(感想・評価)
人の純粋さをスウェーデンのPOPな雰囲気に乗せて
物理と宇宙が大好きで、アスペルガー症候群であるシモンは、人に触れられることを嫌い、完璧なことを求め、変化を嫌い、自分のルールで世の中を生きる青年。兄のサムだけに心を許し、兄もシモンの唯一の理解者。
物語はサムが彼女と暮らし始める準備をしている最中、両親ともめ、ロケットを模したドラム缶の中に閉じこもるところからスタート。サムは自分しか理解できない弟を愛しているがゆえに、弟を救うためには自分と一緒に暮らすしかないと考え、彼女との生活にシモンを入れた3人での生活を始めるも、自分のルールを曲げないシモンに、彼女の堪忍袋の尾が切れ、出て行ってしまう。
失意のサムに対して、シモンはサムに対して完全な彼女を方程式で導き出し探し始める…
というのが、映画の紹介によく書かれているやつですね。
まずは、風景、雰囲気の可愛さにニンマリです。さすがスウェーデンだなぁ…と。シモンの赤いジャージーやシモンの部屋、ロケットですらかわいいし、サムのバイク、標識、全てが可愛く見えてしまうからさすがスウェーデンです。
そして、シモンの純粋さも心を打たれるところもあります。兄のサムに彼女を見つけるために翻弄するシモンに対して、当然方程式で彼女なんて作れるわけがないし、傷心のサムは辟易…。自分は一生懸命サムのためにやっているのに、サムは出て行ってしまう…。この時のシモンの慟哭は本当に悲しかったです。でも、その後ロケットにこもってからの閃き、その後の素敵なディナーと、シモンは自分の悲しみとともに、何がうまくいかなかったのか、サムのことをずっと考えていたのでしょう。この純真ってすごいなと思いました。
そして、最後は、お決まりですが…。だって、最初に交差点でぶつかった時、2回目か3回目にイェニファーと「運命」があるないの話をしていた時に、既にフラグは立ってましたからね。
そりゃそうだ…と思いながらも、ロケットの中のシモンと、外のイェニファーの最後のシーンはわかっていながら思わずニンマリ。
安っぽいストーリーといえばそこまでですが、シモンみたいに純真ならそれでもいいやって思える幸せなえいがです。