「ルパンの品格が盗まれた!」ルパン三世 ao-kさんの映画レビュー(感想・評価)
ルパンの品格が盗まれた!
アニメの実写化を成功させるには大きく2つの方法がある。「ダークナイト」のようにアニメの殻を突き破ってリアリティーを追求するか、「ヤッターマン」のように実写という枠を取り払ってとことんアニメに近づけるかだ。
キャラクターのビジュアルや演出から言って、この作品が前者を狙っていないのは確かだ。では、後者として成功しているか?答えはノーである。
小栗旬らの配役は思ったほど悪くはない。しかし、ルパンとして見るには違和感が拭えない。それは、ルパン本来の魅力である軽快さやユーモアがまるでないことにある。無駄な会話が多く、無駄に真面目ぶっている。更にルパンはお宝を盗むことが目的であって、あまり殺生をしないのだが、今作のルパンはかなりドンパチやっている。その結果、ルパンの怪盗紳士という品格が奪われてしまっているのだ。
その他のキャラクターも個性を活かしているとは言い難い。次元のクールさはただの無口な男にしか見えず、不二子のお色気も全く作戦に活きていない。カーチェイスで五ェ門が斬鉄剣を使うのならば、車がまっ二つに割れるくらいの大胆な演出が欲しいところだが、それもしない。アニメの実写だからこそ許される荒唐無稽さが些か乏しいのだ。
ストーリーのテンポも悪く、軽快さも大胆さもない今作。大胆なアクション、女泥棒、戦略、変装、侵入、マクガフィンの争奪、これらの要素を考えればトム・クルーズの「M:I-2」の方がよっぽどルパンの実写版として相応しい作品である。
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