劇場公開日 2014年8月30日

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「小栗ルパンは意外と悪くない」ルパン三世 といぼさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0小栗ルパンは意外と悪くない

2019年12月24日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

日本人なら誰もが知る怪盗ルパン三世の実写映画化。映画の内容については一切の事前知識無く鑑賞しましたが、前評判があまりよろしくないということだけは聞いていました。

まずキャスティングについてです。
意外にも小栗旬演じるルパン三世は違和感が無く、アニメ版の声優であるクリカンさんを意識したと思われる口調で、ルパン三世という難しい役を演じきっているように感じました。また、次元役の玉山さんと五ェ門役の綾野さんも私の感じていたキャラクターのイメージ通りで、全く違和感無く観る事ができました。玉山さんはインタビューで「違和感を感じないように頑張った」と語っていらっしゃいましたが、その努力の賜物かな、と思います。しかし峰不二子役の黒木メイサは正直ミスキャストかな…。黒木さん自身は何も悪くないです。頑張って峰不二子を演じていたと思いますが、黒木さんのイメージと峰不二子のイメージがあまりにもかけ離れていて、その溝が埋められていなかったように感じます。完全にキャスティングした製作スタッフが悪いです。

次にストーリー
今作はルパン一味が出会い、チームを結成するまでを描いたオリジナルストーリーになります。オリジナルストーリーにする利点として、約2時間の尺にストーリーを無理やり収める必要が無いため綺麗にまとまった作品が作りやすいという点があります。しかしこの作品はストーリーに対して尺が長いです。133分もあります。複雑で濃密なストーリーであれば2時間越えも分かりますが、今作の内容は比較的シンプルな内容なのに何故かこんなに尺が長いので、間延びしたような感じが否めません。この内容ならば100分程度にまとめられたと思います。

そして私が一番問題だと思ったのが、多くのアジア人俳優の登用です。
韓国や台湾、タイの有名俳優をキャスティングし、図らずも(図ったのかもしれないが)、日本版・韓国版・台湾版の「花より男子」に出演したイケメン俳優が出演するというのが映画上映前から話題になっていました。それ以外にも多くの有名なアジア人俳優が登場し、数えたわけではないですが、メインで出演しているキャストのうち日本人は3割くらいだと思います。この多国籍キャスティングが、全ての諸悪の根源だと私は考えています。

ルパン一味はルパン以外は全員日本人キャラクターであるため、海外キャストを起用するためにはオリジナルキャラクターを登場させるしかありません。海外の有名俳優さんですので、端役のキャラクターでなく、ある程度活躍できるようなメインキャラクターとして登場させる必要があります。忖度に忖度を重ね、出来上がったのが今回のキャスティング・脚本です。主役より目立ってるイケメンキャラクターのマイケル、しれっとルパン一味にいる知らない人ピエール、終盤に急に出てくる天才プログラマーのぽっちゃりメガネ(名前忘れた)などなど、「何でこのキャラクターわざわざ出したんだよ」ってなる人たちばっかりです。要らないキャラクターをたくさん出して、それぞれのキャラクターに見せ場を作るような脚本にするもんだから、無駄なシーンが多いしストーリーに脱線が多いし、この内容で2時間越えの作品になっちゃうんですよ。そもそもルパン一味の出会いを描きたいなら、舞台が海外である必要性すらないんですよ。次元も五エ門も不二子も日本人なんだから、日本が舞台になっている方が自然でしょう。

色々と製作現場の闇みたいなのが垣間見える作品でしたが、何も考えずに見る娯楽映画としては悪くなかったと思います。オススメです。

といぼ:レビューが長い人