「努力の跡はみられる」ルパン三世 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
努力の跡はみられる
総合:65点 ( ストーリー:55点|キャスト:65点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )
ルパンを観る人の多くは、ルパン・次元・五右衛門・不二子・銭形の関係くらいは知っていると思うのだが、それを劇中で彼らが出会う場面から始める必要があるだろうか。いつものルパン一味の関係を知らせることに無駄な時間をとられているし、短い時間にそれをするから会ったばかりの関係性になって深みがない。それなのにアニメでは登場しない人たちが最初から当然のようにルパンの周囲に存在するし、その他の登場人物も多くて、人間関係や状況設定の把握に苦労する。
これは最初から海外公開も意識されていたようで、ルパンを知らない視聴者もいるという前提になっていたのだろうが、そのせいか変に無理やり人間関係を作り上げている印象があった。最初から国内向け専用で脚本と設定を制作されていたら観やすくなったのではないだろうか。
それと派手に作り上げられた格闘に金がかかっているのはいいのだが、格闘の撮影のときにカメラを激しく動かしすきで観辛い。音楽はルパンらしさがあったものの、ここはやはり大野雄二でやってほしかった。
一方でアニメのルパンを引き継ごうとして努力した跡もみられる。世界を舞台に活躍するルパンらしく、日本国内に留まらずシンガポール・タイ・香港で普通に撮影していたのも躍動感が出る。邦画にしては美術も金がかかっていて豪華だった。
ルパンを演じた小栗旬は見た目も細かな動きも役作りの準備をしっかりしたようで、ところどころでルパンらしい動きが観られたのは嬉しいところ。銭形もまずまず。黒木メイサは見た目はともかく、役作りの方向性の違いなのか演技力不足なのかあまり不二子らしい明るい悪女ぶりがなかった。