「高速ミギーカット。」寄生獣 完結編 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
高速ミギーカット。
どうにもこうにもグロさが際立った前篇と比べるとかなり観易い。
原作ファンの友人曰くやっぱりミギーの印象は違うらしいのだが、
私にはどうでもいい(爆)ミギー=サダヲの愛らしさあって何とか
最後まで観られたようなものだからだ。いやしかし後篇でかなり
テーマを絞り出してきたこともあり、非常に考えさせられる内容。
人間を食べるあの気味悪い寄生獣が悪で、人間は善だといえるか。
対寄生獣、対人間、の一方で、共存の道を探る動きも活発化する。
新一の右手に寄生したミギーはもう相棒と化し、仲良く味噌汁を
作るシーンなど堂々の第一位だそうだ(鑑賞後の満足度で)確かに
家族を失った新一にとってミギーと里美くらいしか味方はおらず、
感情を失いつつある中にあって、何とか命綱を齎してくれている。
逆にミギーは新一の人間性をどんどん吸収し感情が根付いていく。
身代わりとなって助けようとする場面では泣けるし、彼はいわば
敵側なのに親近感が湧いて仕方ない。親近感でいうなら研究者の
田宮良子にも変化が生じ、母性が我が子を守ろうと働く場面では
人間の親が(でなくとも)そうするだろうと、ちゃんと理解できる。
そして人間側には殺人鬼が登場する。寄生側には最強の敵・後藤。
ミギーが寄生していることで一生つけ狙われる新一だが、復讐の
鬼と化す一方でこれが正しいことなのかと自問自答が続いていく。
本当に恐ろしいのは誰でどんな感情なのか。生きるために捕食を
繰り返すことは許せず、快楽の為に殺人を行うのは許されるのか。
多種多様な考えが浮かび、模範解答のないままラストへと向かう。
こういうことを描きたかったのか。が分かると壮大さが伝わるが、
とにかくグロさが際立つと女性陣やオバサンはつい退いてしまう^^;
(大切なものを守ろうとする本能は失われないでほしいね。ずっと)