「原作はパズルのピースではない」寄生獣 完結編 MintSleepyさんの映画レビュー(感想・評価)
原作はパズルのピースではない
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細部でも不満はあるが、一番納得できないのが、新一と村野の初体験シーンの一連。原作では村野は新一に何が起きているかの真実は知らない状態で、あくまでも死の恐怖に怯える新一が縋り付いたのを受け止める流れでドラマ的な必然性もあるし、時系列的な前後の流れも不自然ではない。しかし、今回の映画では後藤戦第一ラウンド後、すなわち新一に右手がない状態で唐突に村野が現れて、なしくずしにその場で結ばれてしまう。この状態の新一を無条件に受け入れるのは原作以上に二人の絆や村野の母性が強調されていなければ到底説得力など出てこないが、実際には完結編前半ではむしろ村野は空気気味で全然描写が足りていない。にもかかわらず意外に描写が念入りで喘ぎ声まで出させている始末。スタッフが橋本愛を脱がせたかっただけにしか見えない。
後藤の圧倒的な強さの描写が不足しているのも物足りないし、毒から放射性物質への改変も科学的には明らかにおかしな方に行っている。(物理的有害さと化学的有害さはメカニズムが違うし、タイムスケールも違う。)
深津絵里の好演は評価したいが、映画自体の出来は前編よりもかなり落ちると感じたのが正直なところ。
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