「結末の、方向性へのかすかな疑問」寄生獣 完結編 うそつきかもめさんの映画レビュー(感想・評価)
結末の、方向性へのかすかな疑問
感情の無いはずの、いきものや無機物、知性体などが人間と交流し、いつの間にか情を通わせるようになるというおはなしは過去にもたくさん描かれてきた。
しかし、これほど大胆で、独創的なキャラクターを生み出したコミックがかつてあっただろうか。
作劇の中で、命はその役目を簡単に終わらせる。まるで田宮良子の一生のように。作者が、実験的に、理詰めで登場人物たちを殺していったときに、われわれ受け手である読者は、何の感情もなく平気でなど居られるわけがない。
そこに悲しい別れが待っているのだから。
前編が「出会い」「覚醒」「使命」などを劇的に描いていたとしたなら、完結編では「別れ」を重点的に描いてある。
キャラクターたちがその命を散らすときに、一瞬輝き、そこに漂う哀しみに大きな共感が生まれる。そうして成長した主人公はまた平凡な毎日に埋もれていく。
果たして、ラストの屋上でのエピソードが必要であっただろうか?
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