「原作の大ファンですが」寄生獣 ルイコスタさんの映画レビュー(感想・評価)
原作の大ファンですが
クリックして本文を読む
かなり良かったですね。
原作を忠実に再現するといううたい文句の駄作が何本も世に出ている中、この映画は原作のテーマを再考して加えたり変更したりしており、新しい解釈が原作ファンにとっての見所。
のっけから原作との違いは鮮明。
パラサイトの登場は空ではなく、海から。ただ確かに、人間が毒で、パラサイトが中和剤という考えなら、地球の意思としてパラサイトが生まれるのは、生命の起源でもある海の方が適当であるように思える。海や水族館は実に効果的なチョイスだった。
Aと母親の扱い方は絶妙だった。登場人物を減らさないと時間がおさまらない事情はあるのだろうが、論理的に設定変更されていて、実に見事。古沢さんの腕だろうか。
母との対決は原作以上だったと言っていい。新一にパラサイトが混じっているなら、パラサイト側に人間が混じる可能性もあるわけだ。あの母の行為は脳が奪われても、体に残された母としての遺伝子があの行為をさせたという解釈もできる。この視点は原作になかった訳で、素晴らしい解釈だったと思えた。
マイナスはやはり実写にすればグロさはどうにもならんよねっていう。
あと、母に余のイメージがなかったのと、深津に優しさが滲んじゃってるのはご愛敬か。
染谷の演技は抜群だったし、橋本、東出も素晴らしかったが。
これだけの評価を得ている漫画にあえて手を出した覚悟を感じる映画。
そして、これだけの時間を経ても、なお今に通じるメッセージを持っている原作に改めて賞賛を贈りたい。
コメントする