「ヒットメーカーたる所以」寄生獣 しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)
ヒットメーカーたる所以
原作はお好みやさんでソースまみれの単行本を読んだぐらい。意外と寒いギャグが印象的だったぐらいしか憶えていない。
本作、まず映画ファンなら、ミギーがどういった扱いになっていたかは、POP、阿部サダヲ等でわかっていたはずだ。要は、ミギーに対し、原作の思い入れを持って臨めばバカを見る、ということ。
ミギーをふなっ○ーごとき、ゆるキャラで売り出すことは決して間違っていない。ミギーの手袋、ミギーのボールペン、ミギーのコンドーム、、はないか、のグッズありき、ならば当然のキャラ設定。
オレの観た、山崎監督作品は「永遠の0」に続き、2作目だが、少なくともこの2作は、商売、という意味ではとてもよくできた映画だと思った。
ミギーがよくしゃべる、全部ミギーがセリフで説明する、という、まあ、あんまり絵的に上手でない部分もあるんだけど、これは戦略勝ちだな。
CGも違和感あまりない。ただしバトルとか、化け物の変形がワンパターンだったかな。こんなだっけ、原作。まあ、いいや。
役者で言うと、やはり染谷将太氏。生気のない目、弱気の目、デレデレの目、陰鬱な復讐者の目、狂気が宿ったダークヒーローとしての目、が見事に使い分けられている。
山崎監督は演技演出はできていない、という意見もちょくちょくあるが、「永遠の0」の岡田氏や本作の染谷氏といい、いずれも優秀な役者である前提かもしれないが、とてもいい演技をしている、させている、と思う。
マイナスなのは、深津さんかな。彼女自身のもつ、人間的な柔らかなオーラが消せていないんだよね。もっと冷血なイメージの女優が、だんだん母の顔になるような感じのほうがいいかもね。
初めのしょうもない環境問題の啓示とかもいらんねえ、必要ない。そこだけは形だけ。後編で、うまくつながれば、それもまた評価するが。
時代設定ももう少し。せっかくヘア、ファッションは統一感があったのだから、パソコン、携帯はないほうがよかったかな。
小さい不満点はあるにはあるが、原作の力と商売上手がうまくかみ合った好例。
ここではさすがヒットメーカー山崎監督、というべきだと思う。