劇場公開日 2014年11月29日

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「ミギーが動いてる!動いてるぞ!」寄生獣 ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ミギーが動いてる!動いてるぞ!

2014年12月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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興奮

うんうん、良いですよ!良い!これは頑張りましたよぉ山崎貴監督!脚本家さんとかなーり、かなーり綿密に内容練っていったんじゃないでしょうかね。原作が言わずと知れた、あの、あの大人気傑作漫画ですから。自分も思春期の頃にゃどっぷりハマったクチでしてね(ミギーが大好きで大好きでねえ)。まあいつかは実写映画化するんだろなあ、と淡い期待を抱き続けて思い焦がれて、気付けば20年も経過してましたか!と、遠い目にもなってみたりして。いっや~待たされました。はい。

で、10巻に及ぶ長編漫画を前後編にてどうやって手際良く捌いていくのか?てのはね、そりゃあ内容をうまく交通整理して、あらゆる要素を吟味、取捨選択するってのは必要なんですけど、そこは慎重に慎重を重ねないと、原作ファンの厳しい目ってのも勿論ある訳で、下手うって原作レイプだ!なんて叩かれたら作り手受け手お互い不幸だし、お互いたまらんのですよ。屋号を汚すなんて以ての外だ!となっちゃう(ここが『寄生獣』に限らずどれでも言えることですが、熱狂的な原作ファンのイタ目な部分ではあるんですけども)。

そこで、監督が恐らく苦心して選んだやり方が、「設定の若干な改変」と「物語を畳み込む」ことなんですね。
主人公、泉新一の境遇を変えたり、或る原作主要キャラを省いたりするのは、もうここは仕方がないんですよ。仕方がない。作り手がそう判断したなら。2時間以内に前編として5冊分の内容を収める訳でしょ。そこに話の筋を挫くことなく全ての寄生獣エッセンスを入れる策として、物語を徹底的に畳み込むという手法を投入してるんですね。畳む、というのはつまり、原作がAルートだとしたら、映画はBというルートを用いて、繋がらなかった展開と展開を繋げて話の流れを短縮してってるんですね。例えば、んー、例えばですけど、Aだと或る事件は旅行中で起きるのに、その旅行を省いて事件発生だけを抽出してBルートの流れに組み込むというか(この説明で合ってるかなぁ)。これは本当、冒頭でも言いましたけど、脚本かなり練りまくったんだろうなあ、と感心した部分です。

あと『寄生獣』は、ほら、皆様ご存じの“ドログチャ陰惨グロテスク切り株”漫画って側面があるじゃないですか。側面というか正面か。そのグロがあるからこそ、人気を獲得して来たと言っても過言じゃないですよね。映画はそこを一体どうするか!?て問題もあってですね。
邦画的なエンターテインメント性を持たせたまま、そこ破綻しない程度のグロを入れるとなると、R-18指定で容赦なく切り株描写なんてやっぱり有り得なくて。もしやっちゃったらコアな観客以外の集客はまず見込めませんからね。だから何とかギリギリのラインをPG12でギリギリに見せてくれた手腕は、ここも山崎貴のVFX使いの妙技を見せて貰ったな、という気分でして。よく頑張ってくれたなあ、と。勿論「グロが少ない!物足りないぞ!」て方々の意見もあって、それはそれでとてもよく分かるんですよ。難しいところでもあるんですが、自分はこのバランスで丁度で良いかな、という感想です(例えば韓国で映画化したら間違いなく邦画を遥かに凌ぐドログチャシーンオンパレードになるんでしょうね。それも観てみたいけども)。

ひとまずは前編お疲れ様!と言った感じで、総合評価は『完結編』を観てからですね。楽しみ楽しみ。

ロロ・トマシ