劇場公開日 2014年11月29日

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「抜群に面白い」寄生獣 うそつきかもめさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0抜群に面白い

2024年11月20日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

近年の、邦画の風潮である、重大(人気)原作ありきの前・後編公開という形式には、本当に辟易としている。

これは、2010年公開『SP』『GANTZ』2011年『僕等がいた』などの成功に味を占めたメディアミックス戦略で、作品性という意味においてはこれっきりにしてほしかった。

過去に例がなかったわけではなく、例えば、『バックトゥザフューチャー』の続編においてパート2とパート3が同時に制作が進められたり、邦画でも、アニメだが『イデオン』『エヴァンゲリオン』など、既発の作品を編集して2本同時公開などの手法がとられたりしたことはあった。
後者は、興行的な成功が見込めないことからの苦肉の策で、興行的にはともかく、作品性は多くの場合、損なわれる印象が強い。

『ちはやふる』『64ロクヨン』『暗殺教室』『進撃の巨人』『るろうに剣心』思いつく限り前後編公開の映画はこれからも続くのだろう。重たすぎて、映画館に行く気になれないのだ。中には、素晴らしい作品もあるというのに。

さて、『寄生獣』だが、そんな前例たちの累々たる屍にひるまず、理想的な前編と言っていい出来だと思う。面白い。

これを見た以上は後編を見ずには居れず、内容に満足しなかった人以外は映画館に行かずに居れなかったろう。(当たり前か)

そんな私は前言の通り、公開形式に不信感が拭えずに観に行かなかったのだが、今になって劇場に運ばなかったことを後悔している。それほど良く出来ている。

深津絵里、染矢将太、阿部サダヲの演技が素晴らしい。
きっと演出が的確なのだろう
・感情のふり幅
・VFX上の見え方
さらに
・世代別の反応や社会的な反応
など、役者のキャパシティを超えてしまっているレベルだと思うのだが、「浮いている」演技がほとんど見られない。不必要に残虐な描写もない。

もうひとつ、付け加えるなら、原作リスペクトも十分に感じられ、コミックのファンでも無理なく受け入れられる出来栄えになっている。

これは本当にいい映画だった。

うそつきかもめ