劇場公開日 2014年2月14日

「エヴァとブルーノの告白かな?ヒューマン歴史ドラマ好きには見応え充分な作品」エヴァの告白 Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0エヴァとブルーノの告白かな?ヒューマン歴史ドラマ好きには見応え充分な作品

2014年2月11日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

難しい

1920年代のニューヨーク、自由の女神を仰ぎ見る移民局のシーンから始まるこの映画は、本当に切ないヒューマンドラマであった。
当時も、今もそうだと思うが、アメリカは世界の他の国々と比較すると、自己の夢を最も実現し易い、希望の国、正にアメリカンドリームと言う夢と希望が叶う魔法の国のイメージが強い。
今でこそ、ここ数十年続く世界的な経済不振の元凶が、アメリカ経済の不振に端を発し、アメリカを夢の国として焦がれを持つ人は少なくなっているかも知れない。
しかし、それでもアフリカやその他の経済後進国と言われる、日々の食事も充分に摂取する事が出来ない国々からみると、アメリカは今も夢の大国である事には違いない。

そしてこの映画の舞台となっている1920年代と言えば、我が国日本は未だ大正時代末期なのだから、アジア周辺諸国も貧しい暮らしぶりで、日本からも多くの人々が移民となり、夢の国アメリカでの生活を夢にみて密航や、渡航をしていたに違いない。
その最たる物語として、タイタニックなどもある。

この映画のヒロイン、エヴァも妹と身一つで、故国を後にしてポーランドから遠く離れた、アメリカに住む伯父叔母を頼りにやって来たのだが、妹は病を併発し、移民局併設の病院へ強制入院となる事から、ヒロインエヴァの悲劇が淡々と描かれていく。

そのエヴァの辿る屈辱と貧困の生活は、当時の移民達にとっては、極当たり前の珍しくもない環境だったのだろうが、改めて映画として観ると、これが僅か90年前の出来事で有るとは到底考えられないような話であった。
しかし、考えてみれば、日本でも農村部では不作続きの年などは、口減らしなど親弟妹の面倒をみる為に、年上の子供は売られていく時代なのだから、アメリカが、この映画で描いているような扱いを移民に強いる事があったとしても何の不思議も無い事なのかも知れない。
だが、この映画を観ていると、どうして此処まで20年代当時に生きていた人々は、この様な悪条件を耐え忍び生きて、そして尚もピュアな心を持ち続ける事が出来たのだろうか?

本当に目を背けたくなる辛いエヴァの生き様に何度も画面から目を逸らしたが、しかし、余りの悲惨な状況が心配で、ついつい目が離せずに、重く暗い社会派の作品であった割には、この2時間の作品あっと言う間に終了してしまった。

私はこの作品の監督の前作を観ていないし、「アンダカヴァー」と言う作品も観逃しているが、この作品が秀作であったので、是非他の作品も観てみようと思う。それにしても、ホアキン・フェニックスは癖の有る役を演じるのは巧い。そして肝心なエヴァを演じているのは、マリオン・コティヤールとなれば貴方はきっとこの映画見逃すわけにはいかない、今後映画史に残る涙のヒューマンドラマの一つと言っても決して過言ではないと思った。

今現在でも、アメリカではよく、先祖の出身国が同じ国で有る人々が集う、ポーランド人会や、イタリア人会などが有るのも、こう言った歴史的な背景を観ると、現在でも、出身国のアイデンティティーを大切に護ろうとする人々がいる事が頷けるのだ。
人種の坩堝、アメリカはやはり、不思議の国、ワンダーランドなのかも知れない。私には未知なる世界観であった。

ryuu topiann