「私は好きだが、人によっては…」her 世界でひとつの彼女 kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
私は好きだが、人によっては…
主人公が手紙の代筆業者というのが、キャラクター設定の背景として効いている。
が、舞台は近未来。手紙を代筆するテクノロジーも小便利に発達している。冒頭の職場のシーンで、今より少し進歩した世界だと解る。
ならば、あんな紙の手紙の代筆が商売になっているだろうか…
この主人公、冷静に見ると変態だ。
近未来は病んだ世界というのがSFの掟だから、彼だけが変態なのではなく、何百人もの変態男たちが同じOSに恋している。男だけではない。
主演のホアキン・フェニックスがハマっている。
いつの間にかいいオッサンになっていたが、若い頃から変態っぽい役が合う役者だと感じていた。
余談だが、兄のリヴァー・フェニックスが生きていたらどんなミドルになっていたろうか…
OSの声がハスキー過ぎて、機械の声としては違和感があった。色っぽすぎるでしょ?
スカーレット・ヨハンソンって、あんなにかすれた声だったのか。
真剣な悲恋物語で、映像センスは抜群!
悪いヤツが出てくる訳でもなく、ひたすら中年男の恋の葛藤。
しみじみと、しんみりと。
あんな人心を惑わせるOSは、何らかの企みによって流通したに違いない!なんて考えるとSFチックになるのだが、本作はテーマが違う。
この作品、リアリティーを感じる人と違和感を覚える人に大別されるだろう。
観ていて「え?」と感じてしまったら、途中で観るのをやめてください。
最後まで違和感は増すばかりでしょう。
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