「否定できない生き方」インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌 Socialjusticeさんの映画レビュー(感想・評価)
否定できない生き方
ニューヨーク、1961年ガスライトカフェと字幕に。hang me, oh hang me, I will be dead
and gone. ...とルーウィンデイビスが歌い出す。 一般受けする曲というより死のうとした経験のある人に響くだろうなあと思える曲。でも 二、三日泊まらせてもらう大学教授の家に
Timain and Davisの If I had a wingのアルバムがある。大学の教授はルーウィンデイビスの才能を信じ切っているように思え、いつでも手を差し伸べている。ギリシャ料理ムサカを食
べていけと行った時も、歓迎しているようだったが、食卓で伴侶が歌い出した時、ルーウィンデイビスは『俺はプロ』だというこだわりを見せる。これは余興じゃないというふうに教授の伴侶が一緒に歌い出すのを止める。変なプライドがあり、スターダムに乗って、金を稼ぐような『流行り』の歌は作れない。Mr.Kennedy のような。多分、ルーウィンデイビスの性格からして、社交性がないようで無理だとおもう。当時は、エルビスの時代だったようだが.....全く違うタイプの人だ。この曲を味わえる人は、例えば、漁師や人生に迷っている人....猫(Ulysses) とルーウィン・デイヴィスは迷いながらも自分の道にもどるというように、ルーウィン・デイヴィスの象徴は猫の行動として描かれているようだ。でも、私はギリシャ神話をよく知らないので、この兼ね合いを見逃していると思う。それに、ちょっとコメディ風で爆笑したけど、売れないフォークシンガーの生活が切実に描かれていてよかった。人間の人生は金銭的にもプロフェッショナル面でも成功する人ばかりではない。だから、この映画は貴重だ。
シカゴ?のグロスマンに会いに行って、そこで、「インサイド・ルーウィン・デイヴィス」から弾いてみてくれと言われ、ルーウィン・デイヴィスは“The Death of Queen Jane” を弾くが、“I don’t see a lot of money here.”とグロスマンが。笑っちゃうね、グロスマンは真剣なかおつきで、ノーと。
自分の生きる道を迷いながら、優柔不断でありながら、下積みをしながら、人を傷つけながら、流されながらゆっくり決めていく。それは自分のやりたいことが本当にあるから頑なに譲れないことがある。否定できない生き方。
これはもう一度観たいと思っていた映画。
実は再度この映画を見る前に、 「インサイド・ルーウィン・デイヴィス」のこの映画で使われた曲などを演奏している配信を見た。それは2013年9月New York City Town Hall でのコンサート(Another Day, Another Time: Celebrating the Music of 'Inside Llewyn Davis)オスカーアイザックはもちろん、ジョーンバイス、ジャックホワイト、アーヴェットブラザーズなどが出演した。オスカーはここで、映画ではDave Van Ronkの歌を彼のスタイルで演奏したと。それはギターのTravis Pickingというメソードらしい。Dave Van Ronk とオスカーの歌い方は本当に似ているね。演技のため上手に真似をしたんだけど。この映画は歌手でもあり、俳優でもある人が数人いるので楽しめた。