「もう一度、甲子園行こうぜ!」アゲイン 28年目の甲子園 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
もう一度、甲子園行こうぜ!
高校球児OBたちが“マスターズ甲子園”でかつて夢見た甲子園を目指す。
予告編の印象じゃステレオタイプの映画かなと思ったら、思ってた以上になかなかいい!
監督は大森寿美男。以前にもスポーツ×ヒューマンドラマの好編「風が強く吹いている」を手掛けているのだから、つまらない訳はない!
元高校球児・坂町の元に、マスターズ甲子園のボランティアスタッフ・美枝が訪ねてくる。美枝の父と坂町はかつての球児仲間だった。美枝はマスターズ甲子園への参加を誘うが、坂町は拒否する。甲子園を目前にしながらも絶たれた苦い過去があり、その原因は美枝の父にあった…。
一度失われた夢を取り戻す事は出来ないが、あの頃の輝きや興奮を甦らす事は出来る。
再び、奮闘する姿を熱く爽やかに描く。
クライマックスの試合での彼らはいい顔をし、生き生きとしている。
球児の心はいつまでも忘れない。
…が、ここまで来るのに波乱続き。
美枝の父へのわだかまりは未だ消えない。
中にはプロへの道も絶たれ、今の冴えない現状をずっとそのせいにし続けている。美枝にも厳しい言葉を浴びせてしまう。
当事者から真実が語られる。
何故あんな事件を起こしたのか。
長い歳月を経て、仲間の姿と思いを知る…。
坂町は娘と絶縁状態。
娘と会ってもぎこちなく、娘は他人行儀のように敬語で話す。
試合後、大切な人とするキャッチボール。
坂町は娘に甲子園の観戦とキャッチボールを誘う。
果たしてそこに、娘の姿は…?
中井貴一、柳葉敏郎、和久井映見ら実力派が味のある好演。
オジサン連中の中で、清涼剤のような波瑠が可愛い。
仲間との絆、親子愛、相手チームとの正々堂々のスポーツマン・シップ…。
ベタでご都合主義な点もあるが、丁寧に描かれ好感。
あの頃の夢へ向かって…
大人の為の青春映画。