「君は、お父さんとキャッチボールしたことない?」アゲイン 28年目の甲子園 shimoさんの映画レビュー(感想・評価)
君は、お父さんとキャッチボールしたことない?
映画「アゲイン 28年目の甲子園」(大森寿美男監督)から。
ストーリーは、だいたい想像がついてしまったけれど、
やっぱり、私は「野球」が題材の映画が好きだと、再認識した。
特に、基本中の基本と言われる「キャッチボール」は、
相手の胸をめがけて、取りやすいように投げるだけ。
これは「おもいやり」にも繋がる動作として、私は好きだ。
だから、元高校球児役の中井貴一さんが、主人公の女性に訊く、
「君は、お父さんとキャッチボールしたことない?」という台詞を
今回の「気になる一言」に選んでみた。
物語のラストで、元高校球児たちが、憧れの「甲子園」で、
「自分の大切な人とキャッチボールをする」シーンがある。
それは親であったり、妻であったり、子供でもよい。
この人とキャッチボールをしたいな、と思う人を選んで、
恥ずかしくて、なかなか言葉にできない「いつもありがとう」や
「あの時はごめんな」という気持ちを込めながら、
ただただ「キャッチボール」を何回もするのであるが、
それが、なぜか私の胸を打った。
経験のない人たちとのキャッチボールは危ない、と感じていたし、
どこへ投げてしまうか、それを私が捕れるか心配だったのだが、
そんなことは小さなことで、普段、会話の少ない大切な人と、
キャッチボールを通じて、気持ちを重ねることが大事だと知った。
どんなボールでも、心を広げて受け止め、相手には優しく投げ返す。
ただそれだけの行為が、相手との心のキャッチボールに繋がり、
次第に、お互いのわだかまりが解けていく、
私の涙が溢れた原因がここにあった気がする。
私は「キャッチボールするシーン」に弱いなと言うべきだろうか。