「タイムトラベルは、日本映画のお家芸」アバウト・タイム 愛おしい時間について 詠み人知らずさんの映画レビュー(感想・評価)
タイムトラベルは、日本映画のお家芸
「異人たちとの夏(1988)」は、英国でリメイクされている「異人たち(2023)」。古いソニーのラジカセが出てきたときに、日本に対する配慮が感じられたが、それは私のうがちすぎか。
それにしても、タイムトラベルは、この映画の本筋ではないと思った。確かに、前半では、さえない奥手のティムが、メアリーと出会う時、さんざん利用したことは間違いないにしても。後半は、むしろ父親が目立った。「生きる(1952)」のリメイク「生きるLIVING(2022)」で出てきた、私の好きな俳優さん、ビル・ナイ。彼は、ティムに二つの言葉を残す。普通の暮らしをすること、一日を二度繰り返してみること、その結果、何がおきたか。ティムは、タイムトラベルをしなくなる。
勿論、どうかなというところは一杯ある。タイムトラベルは、都合よく使われているし、父親ばかりで、母親の存在感が薄い。母の弟、デズモンドが出てくるのは何のため。でも、それも許したい。この話の下敷きには、英国のことわざ 'Have a skelton in the closet(誰にでも隠しておきたい秘密がある)'があったのでは。実際、セリフにも反映されている。
それでいて、あの若い二人は、本当に困った時、何が救いになるのか、よく知っていた。これが、一時は老大国と揶揄された英国の強さにつながっていたのでは。
舞台になったイングランド南西部コーンウォールの海が美しかった。映画「Mr.ホームズ」でも、近くの景色が出てきたが。
コメントする
