「曲者揃いの家族に泣かされる」アバウト・タイム 愛おしい時間について かちかち映画速報さんの映画レビュー(感想・評価)
曲者揃いの家族に泣かされる
僕の家族は少し変わっています。母はかなり男勝りでブチ切れたらやばい、妹は僕とは正反対でギャルっぽい見た目と性格をしています。離婚して離れて暮らす父はお金にとんでもなくダラしなくて借金まみれ、プレイボーイで女性と遊びまくり。僕自身も家族や親戚から、言動や行動がサイコパスっぽいねとよく言われます。
ティムの家族も曲者揃いです。感情表現が強すぎてぶっ飛んでいる妹キット・カット、もの忘れが激しいデズモンド叔父さん、ズバズバものいう母。唯一まとものはティムの父だけでしょうか。そんな家族と僕の家族が重なって親近感がわきました。僕の家族は母子家庭で、妹はキット・カットのようにグレています。男にもお金にも仕事にもだらしないので、キット・カットを観ていると妹が浮かんできました。僕の友人や恋人には自分の家族のことを話したくない、変なふうに思われるかもしれないからです。
『アバウト・タイム』を鑑賞して、ティムの家族をうらやましく思いました。みんなが変わっていることをお互いに認め合っているからです。デズモンド叔父さんのもの忘れの言動には優しく接しているし、キット・カットの素行については誰も咎めない。僕の母だったらキット・カットのような素行をしたらブチ切れてると思います。またデズモンド叔父さんの言動にイライラしてしまうでしょう。
ティムが恋人のメアリーを家族に紹介するシーンは驚きました。メアリーの両親はまともだから曲者揃いの家族を前にして、引くんだろうな、苦い顔するんだろうな、と思っていました。ところが、メアリーはデズモンド叔父さんやキット・カットと普通に接したのです、なんのためらいもなく。あの笑顔からは嫌がっているようには全くみえませんでした。こんな彼女だったら僕も堂々と家族を紹介できるのに。
僕はタイムスリップできるなら家族をまともにしたいと思っていました。グレてる妹を更生させてやりたい、母と父との出会いを阻止したい、などと思うこともあります。
しかし、この映画を観てから曲者揃いもなんか良いなと思いました。曲者揃いの方が集まったとき楽しそうだし、なにより個性的な一面を受け入れてくれる人もいる。僕は「どうせ変な家族のことを話したら引かれるだろう」と勝手に思い込んでいただけかもしれません。オープンにさらけ出して、受け入れてくれる人と出会えるといいな。
自分の家族の話をするときに、自信を持って紹介できるようになりたいです。