はじまりは5つ星ホテルからのレビュー・感想・評価
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世界の5つ星ホテルと、独身女性の孤独
覆面調査員として世界中の5つ星ホテルを旅して回る独女の話。
5つ星ホテルを堪能できるちょっと大人のラブコメみたいな、ハッピーな物語を想像してたけど、「仕事に生きるアラフォー独女の孤独感」みたいなところにスポットが当たってるし、結局イレーネは孤独なままで、ジワリとしたハッピーエンドだった。
実在する世界の5つ星ホテルに惚れ惚れ。
ホテルのサービスはもちろん良ければ良いほど良いけど、旅の最大の価値は星がいくつとか値段がいくらとかそういう数値的なものでより「誰と何のために何をして過ごして帰ってくるか」で大きく決まるんだっていうことかな。かなり大雑把に言ったけど、中盤からの主人公の様子を見てすごく感じた。
旅を大きく左右するホテルに、客観的視点から点数をつけ続けてきた主人公は、人より多く旅を経験してるものの、自分自身の価値観で旅を楽しむことを忘れてたんじゃないかな。人生の殆どを旅する彼女にとって、旅を主観で楽しめないということは、人生という旅を楽しむ主観を失いつつあったんだと思う。
最後の最後で、人生という旅に出たんだなーと。
題名が3つ星
主人公は、世界中の5つ星ホテルのクオリティを評価する覆面調査員の40歳の独身女性です。
世界中の高級な5つ星ホテルを泊まり歩く毎日ですが。
姉からは、「結婚もしないで、将来身寄りも無くなるのに、それで幸せなの」と嫌味を言われ続ける日々です。
そして、15年以上付き合ってるけど結婚しない彼は、他の若い女性と3度寝て、あっという間に子供が出来てしまいます。
そんな孤独感を味わっている中、宿泊先のホテルで知り合った同じように独身で高齢の、男性に縛られない女性の自由な生き方を実践している学者の女性と意気投合します。
しかし、彼女の突然の心臓麻痺死を知り、自分自身の人生(評価)を見直し始めます。
今の時代、気づいてみれば40代で独身となり、同じような事を考えている人々は多いと思います。
それと、題名がオシャレなんだけど、内容を解りづらくしている気がしました。
題名からだと、5つ星ホテルで始まる恋の話かと勘違いしてしまいます。
自分なら、「私の秘密は5つ星ホテルの調査員」にします。
最後に一言、この女性は、イライラを抑えるためか、タバコばかり吸っているのが気になりました。
宮崎駿さんの『風立ちぬ』なみに主人公がタバコを吸っていて、少し不快になりました。
マルゲリータ•ブイが、、、
40代のキャリアウーマンにしては、老け過ぎ。55才ぐらいにしか見えない。もう少し綺麗な女優さんを選んで欲しかった。全体的には個人的にはアリなストーリーでした。以前の恋人とはよき親友のまま新たな人生をお互いに歩み出せたし、姉妹とはこれまた絆を深くしたあとに、何かに吹っ切れたように前向きになり、人間として独身女性として前に進んで行けるようだし。共感できました。
誰もが羨む人生って、他人が決める事じゃない
五つ星ホテルの格付けをチェックする覆面調査員の物語です。
オープニングのシーンからパリの高級ホテルの様々な場所のホコリをチェックしたり、ベットカバーの匂いをかいだり、カーテンの汚れを見たり…小姑よろしくな仕事っぷりは「へー、こんなことやるんだ。まぁ、やるんだろうけど」と見たことのない仕事の世界にちょっと興味を惹かれました。
スイスのホテルでは、自分だけでなく他のカップルに対するコンシェルジュの対応や案内を見て、ホテルの格付けを下げる話を支配人にしたりとか、ルームサービスを頼んでから出てくるまでの時間をはかったり、ワインの温度やスープの温度を確認したりと…。本当に、こんな仕事あるんだなぁと感心。
で、肝心のお話の方ですが、主人公の覆面調査員イレーネは年間の9割を海外の高級ホテルの覆面調査をして過ごし、ただで海外の高級ホテルを泊まりあるく生活。まぁ、白いスーツで颯爽とホテルに泊まる姿を見ても、細々と的確に、かつ機敏にホテルの様々なことをチェックして行く姿を見るに、ほんっと世界を股に掛けるキャリアウーマンって感じで、しかもとっても知的ないい女ときたら、誰でも羨望の生活だし、本人も誇りに思って、かつ、憧れの生き方とすら思っていたのではないでしょうか?
たまにイタリアに戻れば親友が待っていてくれたり、妹が料理を作ったり一緒に過ごしてくれたり、姪っ子達に好かれてて、一緒に遊んだり。自由気ままにバリバリ働きながらも待っていてくれる人がいる。そんなイレーネの人生は順風そのもの…。
と思いきや、ホテルの調査をしながら様々な人に出会い、人生の本当の価値を見つめ直す…。
親友のアンドレアは有機野菜を販売しながら料理が趣味で、自分の生活と考え方にとても満足している風の男性。妹のシルヴィアは音楽家夫婦で2人の可愛い娘にも恵まれ、家庭も仕事も両立した順風な女性の人生をおくっている。
が、
アンドレアは仕事上で知り合った女性との間に子供ができてしまい、彼女との人生を考え始める。シルヴィアは夫とのセックスレスに悩みながら、自由奔放に生きる姉に嫉妬?をし喧嘩に発展。
きっとイレーネにとって、「帰る場所」だった2人との仲が今まで通りに行かないことはとても大きな問題で、その差中に調査中に出会った人々との言葉のやりとりで、自分の人生を考え始める。
名前は忘れてしまいましたが、ベルリンのホテルで出会ったジェンダーと心理学だっけな?についてテレビで公演をする女性との出会いと突然の別れがイレーネの心の奥のモヤモヤを一気に爆発させるきっかけに…。
自分の気持ちに嘘なく、新たなことに取り組んで冒険をしていこうと気付いたイレーネは一路中国へ…。
といったお話です。
イレーネはきっと、可愛い姪っ子や、親身になってくれる親友や妹の存在に甘えつつ、独り身で仕事をバリバリしながら自由に暮らす自分の姿に、本当の自分の気持ちをごまかしてきたのかもしれませんね。
人なら誰にでも、今自分の置かれている状況を打破する困難を選ぶより、甘んじて正当化することなんてたくさんあると思うし、それに気付けただけでもイレーネにとって良い人生になればいいなっておもいました。
最後の中国に発つ時の、「自分がした旅行で困難とかあった時に、人に進めることができますか?」的なセリフからの幸せは人それぞれ的なくくり方はとても感じ入りました。人のことなんて気にしても仕方ないし、自分の人生自分でかんじないとなって。
そして、これらの話とは別に、世界中のきらびやかなホテルの豪華絢爛な映像はとても素敵でした!
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