家族ゲームのレビュー・感想・評価
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やっぱり優作は素晴らしい
『失楽園』以来の森田芳光作品鑑賞。内容は、簡単に言えば、松田優作演じる家庭教師がある家庭に入り、掻き乱し、変化をもたらすというものだ。想像していたトーンとは多少異なり、全体的に淡々としていた。監督のメッセージを明確に読み取ることはできないが、「クラスでの順位が一つ上がったら一万円というのはどうだ」という家庭教師に対する父親の言葉から、人間の本質を無視して"生産ロボット"を製造する世の中の親たちを皮肉っていることは理解できる。
それにしても、言うまでもないが、松田優作が素晴らしい。あの独特な話し方には自然と引き込まれてしまう。この役ができる他の俳優を想像するのは相当難しいだろう。
冷めた時代の人間関係
総合:65点
ストーリー: 60
キャスト: 75
演出: 70
ビジュアル: 65
音楽: 0
初めて見たときはわけがわからない映画だと思った。最後のほうの横一列で食べ物を投げたり暴力が出るあり得ない食事の場面、全く理解出来なかった。社会という中、家族という中で生活していくうえで、実際には表面上だけの関係性などを皮肉っているのかと今は解釈している。一緒に生活していてもお互いを本当に理解することもない。物質的には豊かになり先進国として世界に肩を並べた、でも人々の人間関係は希薄で家族はばらばらで、家族同士でバットで殴りあいの殺人事件が起きる時代。そんな虚無感を抱えながらの何か冷めた生き方の描写が、この時代を反映しているのだろう。
物語はあまり意味がない。音楽も全くなく、出てくる場面は団地や学校や工場地帯ばかり。ただひたすらに人々の冷めた人間関係の齟齬が生じていく場面を繋ぎ合わせる。そのような人々の描き方を皮肉をこめて滑稽に映し出す。この独特の雰囲気が醸し出す面白さがこの映画の本質だろうか。
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