「俺は黄身をチュウチュウするのが好きなんだ‼️」家族ゲーム 活動写真愛好家さんの映画レビュー(感想・評価)
俺は黄身をチュウチュウするのが好きなんだ‼️
河川沿いの高層団地に住む沼田家は、デキの悪い次男の高校受験成功のために家庭教師を雇うことにする。そして風変わりな家庭教師の吉本が沼田家にやってくる・・・‼️この作品ほど、そのビジュアルや構図、演出にこだわって製作され、それが成功した作品はないでしょう‼️テーブルに横一列に並んで食事をする家族を正面から捉えた構図‼️勉強机からの視点から見た家庭教師と教え子のささやき声による会話‼️目玉焼きの黄身だけをチュウチュウしながら食べる父親‼️音楽を一切使わず、ヘリコプターの音などの効果音のみで魅せる森田芳光監督の演出‼️ワンカットごとに工夫されたそれらのアイデアは40年以上経った今観てもホントに斬新でワクワクさせられます‼️そしてやはり松田優作さん‼️「最も危険な遊戯」や「野獣死すべし」でアクション・スターとして、当時絶大な人気を誇った彼を吉本役にキャスティングした時点で、今作は既に成功している‼️いつも植物図鑑を持ち歩き、河川沿いの沼田家にわざわざ船でやって来る、いや襲いかかってくる‼️そして勉強だけでなくケンカの仕方まで次男に教え、家族を静かに攪乱、まるでメフィストのようにふるまう大学7年生の吉本‼️ホントに最高すぎるキャラですね‼️吉本が父親と息子の成績が上がるごとに、特別の報酬をもらう契約を交わすシーンは特に印象的ですね‼️私はアクション・スターとしての松田優作はリアルタイムではないので、今作以降の松田優作さんのキャリアが特に印象に残ってます、「それから」とか‼️そんなこんなで次男は高校受験に合格、今度は長男を一流大学に入れてやってくれと頼まれるも、「一流大学の受験生を三流大学の学生が教えられるはずがない」と断った吉本は、沼田家で大暴れして終幕‼️なんというつかみどころのない作品‼️でもそのつかみどころのなさが今作の最大の魅力‼️一見普通に見えて、どこかズレてる家族間のエゴがラストでコテンパンにぶちのめされる‼️そんな風変わりなホームドラマを描きながら、"家族"、"教育"、"受験"、"いじめ" といった現代にも通じる日本の社会問題を、お遊び(ゲーム)感覚でこんな傑作に仕立て上げた森田芳光監督の才気に乾杯したい気分ですね‼️
