「もしもし、お母さん・・」美しき棘 きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
もしもし、お母さん・・
「独りぼっちの少女」をレア・セドゥが魅せている。
父親はいない、とうの昔からどっかの海外にいるのだ。
頼りたかった姉もいない、家出している。
たった一人の女友だちは彼氏を盗ってしまったし、
バイクの彼もあっけなく事故死だ。
濡れねずみの彼女を誰も愛してはくれなかった。
嗚呼、どうしてフランス映画はここまで人間を孤独に追いやるのだろうね。
王室をギロチンに葬ってしまったがために、彼らはついに帰るべき家を失い、そうやって永遠に一家離散の呪いをその身に負うてしまったのだろうか。漂泊の国民になってしまったのだろうか。
まだ甘えたり反抗もしたかった頃なのに、母親を亡くしてからの、17歳。レア・セドゥの孤独ぶりが、どこまでも痛々しい映画なのだ。あの顔!
死んだひとのよすがを求めて.がらんどうのアパートで母親の引き出しを開けて母親を探す。
そして母親の声が聴きたくて補聴器を自分の耳に当てる。
でも幽霊でさえ、少女の願望に反してこんなにも素っ気なくてなぁ、
抱っこしてやれよ!母ちゃん!もう悲しすぎるだろって!
・・
《家族は、いてもいなくても、人は永遠に孤児だって》映画なのだ。
本作のあとレア・セドゥは「たかが世界の終わり」に出演する。
ウエットで面倒くさい日本だけれど、引き出しの中の「へその緒」を見せてやるよ、だからこっちへおいでよ。大阪のおばちゃんを見せてやるからよ、と
叫びたい気がした。
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