「【名匠、キム・ソンス監督が7年後のコロナ禍を予想したかのような、ウイルス・パニック映画。ウイルスの恐ろしさと共に、人間の恐ろしさも描いた作品でもある。】」FLU 運命の36時間 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【名匠、キム・ソンス監督が7年後のコロナ禍を予想したかのような、ウイルス・パニック映画。ウイルスの恐ろしさと共に、人間の恐ろしさも描いた作品でもある。】
ー 韓国感染映画と言えば「新感染 ファイナル・エクスプレス」であるが、今作はその作品の3年前に制作、公開されている。
キム・ソンス監督の先見の明に驚く。-
■致死率100%を誇るウイルスの感染拡大が発生し、韓国・盆唐が封鎖。恐怖に駆られた人々が暴徒化するなか、救助隊員ジグ(チャン・ヒョク)は想いを寄せる医師・イネ(スエ)の幼い娘・ミルや取り残された人々の救出に挑む。
だが、さらなる感染拡大を恐れた米軍及び韓国総理の指示により、韓国大統領の権限を越え、盆唐地域で感染した人たちの消滅活動に動き出す。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・キム・ソンス監督作品らしく、韓国の人気俳優が多数出演している。救助隊員ジグを演じたチャン・ヒョクを始め、彼の先輩を演じたユ・ヘジン、若きマ・ドンソクも自分勝手な作戦課長として登場する。
・今作で際立つのは、矢張り感染した人たちが生きて居るかもしれないのに、巨大な収容所から運び出され、焼かれて行くシーンや、盆唐地域の人達がソウルに向かおうとする前に、バリケードを置いて銃を向ける軍の姿である。
・だが、今作では救助隊員ジグが、事故の救助の際に一目ぼれした気の強い女医イネ(スエ)が、感染した幼い娘ミルに、菌を持ち込んだ密入国者の中で唯一生き残った男から採取した抗体を打ち、ミルの中で抗体が出来るという流れが、イネの娘を助けたいという思いから産まれ出る所の描き方が、緊迫感が溢れている。
・更に、随所で救助隊員ジグが見せる女医イネと幼い娘ミルを助けるための、献身的な言動が、沁みる作品である。
<今作は、名匠、キム・ソンス監督が3年後のコロナ禍を予想したかのような、ウイルス・パニック映画であり、ウイルスの恐ろしさと共に、人間の恐ろしさも描いた作品なのである。>