それでも夜は明けるのレビュー・感想・評価
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いい意味で長い
アメリカのみならず、人種差別物を評する言葉を私は持ってません。
良かった点を。
ところどころ、カットが長いシーンが多い。やたらと多い。そして、大丈夫?って不安になるほど、やたらと長い。
劇中のほとんどのエピソードは他の映画でも描かれていて、あらたな知識はない。
しかしここまで、見ているこっちも苦しくなってしまうのはこの「長さ」の演出でしょう。首を釣られるシーン。顔のズームで辺りを見渡すシーン。女性をムチで打つシーン。など多数。
見ているこっちも、「もう止めてくれ」った胸が締め付けられる。
そして、その「長いシーン」の積み重ねの約二時間という長さが、ソロモンさんが体験した「12年という長さ」を表した演出なのであろう。違うかな?
ブラピ、その役ズルいよ。
長い…。
アメリカの歴史の中では切り離せられないであろう奴隷制度。
それを後世に伝える為には、この類いの映画は必要だと思う。
映像は綺麗だったけど、場面転換の要所要所で、行間のような場面が私にはいらなかった。
酷い体罰との対比で入れたのだろうけど、ちょっとあざとく感じられたかなぁ。
エンターテイメント性は、私には感じられず、記録映画としてとらえました。
マイケル・ファスベンダー、かなり嫌な役ですがうまいなぁー。
ブラピがね、ちょっとおいしい役すぎた。
自由黒人が誘拐され奴隷とされ扱われる12年間を描いた事実に基づく映...
自由黒人が誘拐され奴隷とされ扱われる12年間を描いた事実に基づく映画。それでもよは明けるというタイトルではなくても良かったかもしれない。
目を背けたくなるものだが、実際は体験したものしかわからないだろう、それならなおさら目をそらしてはならないという気持ちで見た。
1人が助かったところで全体の解決には至らないというのが現実の辛いところで、最終的にも悪者役なるものが裁かれなかった点も現実の辛さを感じる。この感覚はヘルプという映画に近いかもしれない。
ずっと吊り下げられたままで周りは助けてくれない描写など異常に長いような描写が効果的だった。
思ったほどハードではない
アカデミー賞作品賞を獲れなかったはずの作品。
アカデミー賞発表に先立ち、事務員がアカデミー会員に作品賞候補をすべてみましたか?という調査に対して、多くの会員が「いや、実はちょっときつそうなんでまだ見てません」という回答が多数あり、それによって多くの会員が投票直前に見ることになったことで、本来獲ると言われていた『ゼロ・グラビティ』の票を上回ったと言われいます。
事実だからしかたがないんだけれど、こんな終わり方で本当にいいのだろうかと疑問を抱かざるを得ないエンディングでした。
もちろん作品賞候補になるべき傑作です。
生き残りたいなら、余計なことをするな
映画「それでも夜は明ける」(スティーブ・マックイーン監督)から。
今までにも、アメリカの「黒人差別」「奴隷問題」は、
何度となく人を変え、視点を変えて、作品となってきたが、
今回は「奴隷」=「拉致」という視点が浮き彫りにされた気がする。
ある日突然「拉致」され、今までの幸せだった生活から
訳もわからないまま、どん底の生活に落とされる展開は、
北朝鮮に「拉致」されたとされる人々の人生とダブった。
たぶん、抵抗することは死を意味するのだから、
「生き残りたいなら、余計なことをするな」というアドバイスは、
奴隷だけではなく、拉致された人にも通用するメッセージであろう。
こんな、人身売買が許された時代、ブラッド・ピット演ずる
奴隷制度撤廃を唱えるカナダ人労働者バスが、主人公に呟く。
「これは病気さ、この国の巣くう恐ろしい病気だよ。
いつか最後の審判が下る」
そして、リンカーンを始め、多くの人の活動により、
「黒人差別撤廃」「奴隷制度廃止」は現実となっていく。
いつになっても、この問題が「映画化」されるということは、
アメリカ・イギリスなど、植民地の人々を「奴隷」として扱った国々が、
今でも、その後悔を国家・国民として拭い切れない証拠だろう。
このテーマで映画が作られないと言うことは、
戦時中の日本の植民地政策は、間違っていなかったに違いない。
あくまで「奉公」であり「家畜」ではないのだから。
黒人奴隷にも冷たいしたたかさ
自由黒人から一転、奴隷になった主人公は、白人の傲慢さや、偏見、そしてある意味悪意なく見下してくる姿勢に絶望していると共に、境遇に慣れすぎ、無気力な黒人奴隷にもいっさい共感していない。
主人公は黒人奴隷を軽蔑している。基本的に彼の視線は白人と同じだ。
それがこの映画を稀有に恐ろしいものにしている。
彼は自由黒人という本来の立場の復活のため、したたかに動いてるだけで、究極的には黒人奴隷制度自体には否定や疑問はしていない。彼は基本的に黒人を見下している。
だからこの映画は黒人奴隷という歴史の恥(シェイム)を声高に反省するような単純な感動作ではないのだ。
美味い話しには気をつけよう!
いくら自由黒人だからといっても、この時代に上手い話しに有頂天に乗って酔いつぶれ捕まるなんて、どんだけ世間知らずのバカなのかと思って驚いてしまう。自分の不注意から招いた結果なので仕方なのかと思ってしまう。奇跡的に戻れたのが不思議なくらいです。改めて甘い話しには、絶対に乗らないようにします。
見ていてつらい、
と思いました。長回しの拷問シーンがとても効果的だったと思います。今の日本に生まれて良かったと心から思いました。
ラストの家族と再開するシーンは、感動というより「良かった…」と思いました。自由黒人である事が証明されたから良かったものの、奴隷黒人は終わりなく戦い続けるのだろうと思うと…とても考えさせられる作品でした。
見ていて痛々しくて苦しくて、だからこそ観て良かった、観るべきだなぁと感じた作品でした。
明けない夜もある。
奴隷制度の理不尽さや自由の喜びなど心に響く部分はあった。しかし「迎えが来たからオレは帰るよ他の皆はガンバッテ!」的なラストは、そうせざるを得ない状況とはいえちょっとガッカリ。
エンドロールでの『虐待したヤツ訴えたけど負けた』←この部分も詳しく追ってほしかったなー(´Д` )
自由とは、人が持つ生まれながらの権利
本年度アカデミー賞作品賞受賞作。
隣町の映画館での上映がようやく決まり、早速観に行ってきた。
奴隷問題を扱った映画は多く、去年も「リンカーン」や「ジャンゴ」があった。
僕は、奴隷問題や人種差別を扱った映画が好きと言ったら言葉が悪いが、非常に胸に響く。
が、ここまでがっつり真っ正面から捉え、ズシリと感じたのは初めてかもしれない。
自由黒人だった主人公ソロモンは、白人の裏切りで奴隷として売り飛ばされる。騙された事も、自分が置かれた状況の説明も無く、突然に。
ここから見る側は、ソロモンの身になって、彼の辿った苦しみの歳月を体感する事になる。
ソロモンの身に降りかかるのは、恐怖、絶望、不安、過酷な重労働、不条理な暴力…。
味方も信用出来る者も居ない。目をかけてくれる者は居ても、助けてはくれない。
とても人が人にするとは思えない酷たらしい仕打ち。
黒人と白人の何が違う?
目を背けたくなる場面もある。
しかし、目を背けてはいけない。
こんな事がほんの一世紀半前まで実際にあったのだ。
オスカーを受賞したルピタ・ニョンゴの熱演が話題だが、受賞を逃した二人にこそ引き込まれた。
キウェテル・イジョフォーは、ソロモンの悲しみ、苦しみ、決して人としての誇りを捨てない姿を体現。
マイケル・ファスベンダーはソロモンの2番目の主人で、奴隷たちに対して情けも慈悲も無い。その一方で、ルピタ・ニョンゴ演じるパッツィーに歪んだ愛情を持つ。冷酷でもあるが、惨めで哀れな男にも見えた。ファスベンダーにとっても、苦難の役だったろう。
実話である為、オチは分かっている。苦しみの12年の末、遂に自由を取り戻す。心揺さぶり、深い感動を呼ぶスティーヴ・マックィーンの演出は素晴らしい。
自国の暗部であり汚点である題材な為、映画会社は及び腰だったそうだが、本作の製作に尽力したブラッド・ピットのプロデュース能力も称えたい。
スピルバーグの「アミスタッド」で、名キャッチコピーがあった。
“自由とは、人が持つ生まれながらの権利”
彼らは奴隷でも、ましてや誰かの所有物でもない。
一人の人間なのだ。
その自由は誰にも奪えやしない。
別に賞を穫って賞賛されたからじゃない。
現時点での今年のNo.1だ。
普通で、常で、大多数であることは怖いことなのかも
…クスリともスッキリとも、これっぽちもしない。明るくも楽しくもこれっぽちもない。
故に「絶対見た方がいい!」とか「素晴らしい作品だ!」とか言わない。
目つぶって見ちゃうような、どんどん鬱になっていくような事…まぁ…ばかりだし(苦笑)結果的に唯一ブラピは近いかもしれないけど、でもヒーローはおろか偽善者でさえも存在しない。
主人公だって全然例外じゃないんだから。
これが物語ではなく、実際にあった世界だということを改めて考えると…ねぇもう信じられないはずなんだけどね。
人身売買や奴隷制度のない…まぁ少なくとも縁遠い生活をしてる自分の環境、現代日本に暮らせていて心から安堵すると共に、そんな発言に罪悪感。
自分や近しい人間だけが良ければそれでいいのか。
「自由黒人」だって、「不自由黒人」がいるからこその言葉なはずで、それを主人公もわかっているはずなのに、それはそれこれはこれ。
でも結局のところそういう人間が普通で、そういう世界だったからこその映画、作品、出来事なんだろうと思いました。
いつだって、普通で大多数であることは怖いことでもあるよなー
人間の真実の残酷さ
人種差別にとどまらない残虐性。
同じ人間に対して、人はあそこまで残酷になれるものなのか。
主人公にしても、一緒に船で運ばれていた仲間の一人が主人に助け出されると、自分も連れて行けとばかりにその名を叫んだり、自分を信頼している奴隷仲間の娘を鞭打ったり、生きるために強かな残酷な一面を見せる。最後は自分一人助かって行くのだ。
残虐性は弱さの裏返しであることも、本作ではよく描かれている。
真に他人のために献身的な人は、本作には出てこない。ブラピの台詞「自分がかわいい」が、全てか。
映像センスは抜群だ。リアリズムと心理描写、動と静。映像は完璧と言っても良い。
期待し過ぎだったかな。
期待し過ぎた感あり。全く予備知識も無く観たんだが、誘拐からの奴隷にされてしまった話とは予想しておらず、あの時代で、自由黒人と、奴隷の違いってなんだろうと、そっちも気になりつつ。話がすすむ。
結局、助けてくれる人が見つかって運良く助かったけど、奴隷として働かせられている人々は其のままで、胸糞悪い話です。アメリカのブラックな一面を胸に刻みました。日本だって似たような話はたくさん有るんだろうけどね。命の価値の安い事。
絵空事ではない
南北戦争の前、ニューヨークでは黒人が白人のように自由で家庭を持って普通に生活していたという描写にまず驚いた。南部ではへまをした白人が奴隷扱いされている場面もあり、そんなこともあったのかとびっくりした。
白人の拷問がひどくて、特に主人公が首つりされてる場面と奴隷の女の子を鞭打つ場面はどっちも執拗な長いワンカットで、恐ろしかった。首つりの方は、拷問が日常の一部であることが描かれていた。
差別や奴隷制度は遠い昔の異国の事だと思いがちだが、お隣の北朝鮮では現在進行形の問題だし、和民やすき屋のバイトや社員が奴隷同様に働かされているのにも通じる問題だ。より巧妙な手口でワーキングプアを奴隷扱いしようとしているので余計に悪いような感じすらする。
『シェイム』では個人の病理を描いた監督はこの作品では、社会の病理を描いたのだろう。しかし、主人公があまりに高潔で素晴らしい人格だったため、オレの心には入って来ない部分があった。しかし、この映画でカスみたいな人物が主人公だった場合、物語としておかしくなってしまうので、問題があるのは受け取り側のオレなのだ。
名作^o^
黒人奴隷の悲惨さがよくわかる作品。
間違った運命により家族と離れ離れになり奴隷として残酷な仕打ちを受ける主人公。
そして、白人の奴隷として逆らうことを許されず働き尽くすニガーたち。
なぜ人種が違うだけでこんなにも理不尽で悲惨な事が起こってしまうのだろうと深く考えさせられる作品です。
人は何故、人に残酷な仕打ちが出来るのか。
オスカーが決まった後の鑑賞。
ストーリー構成、脚本、キャスト、
成る程、オスカーを穫った作品だけある。
しかし、しかしである。
題材が題材だけに、多少の同情票が
加算されたのではないだろうか。
いい作品である事は間違いない。
リアルな奴隷制度の描き方としては
まちがってはいない。
だが、
リアルさ故に余りにも強烈な映像が
イメージを作り上げて、生き残る
意志の強さ、誇りを捨てない気概が
薄れたかにも思える。
人間は過去において、様々な過ちを
犯してきた。特殊な環境下では
逆らうた事が難しい。
主人が長い間首を吊られている
シーンが全てを物語っている。
最後に本人の写真が印象に残った。
なぜか、みた後に、感動ではない、
人の醜さ、残酷さがが心を捉え、
沈んだ気持ちになりました。
ハンス・ジマーの音楽予感です。
何度でも。あきらめない。
本年度アカデミー賞作品賞受賞。
おそらくこれが獲るだろうと思ってはいたけれど、
イギリスの黒人監督がアメリカの人種差別を描くという、
この人の挑戦スピリッツは大したものだと思う。
そもそも名前からして凄いんだけど^^;これ本名なのね。
あの名俳優もこれだけ後人がやってくれれば大喜び!?
冒頭で「自由黒人」という言葉が出てくるんだけど、
奴隷制度に知識の足りない私には初めて聞く言葉だった。
白人同様に生まれ育ち生活していた音楽家のソロモンは、
妻子が留守のある日、興行仕事の依頼に乗って騙される。
酒を飲み寝入った翌朝、奴隷市場に売られてしまうのだ。
自身が自由黒人であることを訴えるも、誰も耳を貸さない。
最初の農場主であるフォードは優しい主人だったが、
(カンバーバッチ、衿のフリルも役柄も似合いすぎ)
ソロモンの知性が他者の反感を買い、リンチされてしまう。
この描写が凄い。
首に縄を捲かれ木に吊るされたソロモンは、止めに入った
監督官により命は救われる。が、農場主が戻るまでの間、
ずっとそのまんま吊るされているのである、つま先立ちで。
邸宅から見下ろす白人、後ろでは普通に仕事をする奴隷と
遊びに興じる子供達。すべてが彼を丸無視状態なのである。
この壮絶な背景で彼がどんな立場にいるのかが分かる。
次の農場主は徹底した差別主義者で、ここはリンチの連続。
そしてここには彼を上回る拷問をされている女奴隷がおり、
主人は彼女を性の道具にしていた。演じたのがL・ニョンゴ。
正妻が下す沙汰は愛人への嫉妬であり、これは奴隷だから
という判断レベルではない。死ぬまで鞭を打て!との指令に
逆らえば殺されるソロモンが、泣く泣く彼女を鞭打つ場面も
かなり悲惨。一番の働き手を失ってもいいのか!?農場主。
一体どちらが無知なのかと首を傾げてしまうほど、彼らの
リンチは酷さ極まりないが、ここでソロモンはあるカナダ人
と出逢う。これが製作を引き受けたブラピなもんだから^^;
彼の役回りがズルいほど「いい人」なのは致し方ないのだが、
彼に頼んだ告発文が功を奏し、ソロモンはついに解放される。
彼は元々自由黒人だったのだから、解放されて当然なのだが、
あの屋敷に遺された奴隷たちの、その後が気になる終わり方。
実在のソロモンは奴隷解放に尽力したようだが、訴えはほぼ
却下されたり、無罪放免という結果になった(後説に出てくる)
まったくもって酷い話になるが、
知性ゆるがないソロモンの、それでも白人を信じようとする姿
が印象的だった。騙されても痛めつけられても白人達を信じ、
何度でも依頼・懇願する。すべては家族のもとに帰るため。
これが実話とは、一体どういう国なんだよ!と思ってしまうが、
こんな風に部下を奴隷扱いして、イタぶってる上司はいないか。
…と、現代社会に置き換えて考えてしまった。
あのキンキーブーツが記憶に残る^^;C・イジョフォーの大熱演。
先日観た大統領の~もそうだったが、静かに過酷な戦いに挑む
描かれ方がよく似ている。最後まで諦めない姿に感動を覚えた。
(監督ご贔屓のファスベンダーもさすが!似合うところが辛いなぁ)
日常の風景
ソロモンという一人の男性の過酷な実話。
酒飲んで朝起きたら奴隷になっていた…という何とも唐突な始まりから、地獄の12年間が続く。
そして結末もある意味、唐突にやってくる。
その始と結の唐突さは、生殺与奪権を白人が握っていた当時の実状そのものなのだろう。
自力で逃げ出したり仲間を助けたりそんなドラマティックな展開など許さない実状の理不尽さ、唐突さだった。
執拗な暴力描写が作中続く。
主人公が庭で首を吊られるシーンがあった。
主人公の後ろでは子供達が楽しそうに遊んでいる。白人がまるで木を眺めるように主人公をただ見ている。
日光が射し風が吹く美しい庭で、男は首を吊られている。それはとても美しい庭だった。
暴力描写が恐ろしいというより、そういった日常との対比が恐かった。
主人公にとって地獄でも、21世紀の観客の視点からみれば非道でも、当時の南部では日常の風景だ。
神を説き一見人の良さそうなフォード(カンバーバッチ)も、平気で奴隷を売買する。それが日常だから。それが当時の南部では多数派だから。
当時、自分が居合わせたらやはり日常に流されそうしていたのではないか。そう思うと、人の罪そのものを突きつけてくる映画のようにも見えてくる。
見応えありあり!!!
寝不足だったので眠くなるかと思いきや、そんな事は皆無。
見応え満点!
実話に基づく話との事で、人間はこんなにも残酷な事が出来るのかと思った。
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