「ソウルを体現するアボリジニ」ソウルガールズ MAPLEさんの映画レビュー(感想・評価)
ソウルを体現するアボリジニ
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歌手を夢見るアボリジニの3姉妹と、その従姉妹。アボリジニは差別対象かつ、肌が白いと連れ去られ白人として育てられてしまうため、従姉妹はアボリジニの魂を燻らせながら白人として育てられていたが、3姉妹と再会。人生に疲れたような気だるそうなおじさんデーブにソウルを鍛えられ、マネージャーをして貰い、4人で歌手としてベトナム戦争慰問ツアーを回る。最初はウケを狙って音楽性としてカントリーでなくソウルを歌っていたのに、ツアーを通して変わっていく4人の心模様は真の意味でソウルを掴んでいく。デーブの言う、「カントリーは喪失して故郷に戻る歌、ソウルは喪失しても頑張っていこうという歌」の通り、ソウルを歌いながら、登場人物各々が喪失を取り戻していく。長女は従姉妹との確執解消を果たし、面倒見が良く母親目線な余り素直になれずにいた自分の気持ちを取り戻す。次女は婚約者に傷つけられた女性としての自信を取り戻す。三女は姉達におざなりにされていた自分の歌声への評価を掴み、従姉妹は歌手の夢と消していた黒人としての自己が蘇る。デーブは愛を見つける。戦争前線に行ってしまい命の危険に晒されたとき、5人の助け合い支え合っていくんだという気持ちは深い理解に変わる。差別されてきたからこそ、逆に白人を決めつけてしまう=差別してしまう一面もあり、一度こじれた平等を取り戻す難しさを感じた。ツアー中に4人が着まわしている衣装や髪型が、シーンに合わせて白人うけと黒人らしさの割合を上手く出していて、見ていて楽しかった。
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