ダラス・バイヤーズクラブのレビュー・感想・評価
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得と嘘
生きるための術、たくさんあるはずなのに、その方法はごくわずかの人しか知らない。限られた人にしか与えられない。
誰かの得のために誰かが嘘や隠し事をしている。
物事を変えるのは難しい。
でも、何かしないと変わらない。
それならと動く人はいる。
酒好きで女好き、ドラッグばかりやっていたロンが、病気と向き合い、レイヨンと向き合い、最後にら病気に苦しむ誰かのために行動していた姿がとても良かった。
生も死も自分の手に取り戻す
「死んでたまるか」という足掻きが、己を変え、社会をも変えていく力になっていく様が、静かに胸を打つ。
エイズとわかってからのロンは、出会いのなかで大きく変わっていくが、レイヨンとの出会いはことさら大きく彼を変える。レイヨンとロンの関係性の描き方が素晴らしかったと思う。男装をして父親に会いに行った後、思いっきり美しい格好をして、ロンに会いに行くところは白眉。
生と死は自分の手の中にある。何者にも邪魔されない、尊いものだ。
とりあえず、マシュー・マコノヒーとジャレッド・レトを観るだけでも価値がある。
周囲に恵まれた男。
アカデミー賞の発表まであと少し、今作を観て更に思った。
「…つくづくディカプリオって、運が悪いよな。」
いやいや、そんなこといってとるかもしれないけど(ゴメン)
M・マコノヒー、今思えばウルフ・オブ~にも出ていたっけ。
あの作品でも彼はまだ激ヤセしてたけど、その原因がコレ。
実在したHIV感染者の主人公を演じるためだったのだ。
1980年代、まだエイズが同性愛者同士でのみかかる病気だと
信じられていた頃、娼婦好きのカウボーイ、ロンは突然医師
から余命30日だと告げられる。何で?俺はゲイじゃないのに!
と猛反発するロンだが結果は覆らない。酒とドラッグと娼婦に
まみれた生活を送ってきたロンの乱れた行為に原因があった
ワケだが、当時エイズ治療に無策な政府や製薬会社によって
国内では未承認薬が得られないのを知ったロンは、国外から
密輸をして会員制のクラブを設立、会費さえ払えばタダで薬を
配るという画期的な販売ルートを確立させる。
前半で、コイツ頭悪そうだな(ゴメンね)と思ったのも束の間、
ずいぶんと頭のいい男だったので驚いた。
初めは自身の為とはいえ、彼のアイデアで設立したクラブは
たちまち大反響を呼び連日の行列。遂に政府も危機感を抱く。
彼には頼れる仲間がいた。エイズと判明するまで親友だった
警官には裏切られるが、代わりにドラッグクイーンのレイヨンと
知り合う。ゲイ嫌いのロンは彼女を冷たくあしらうが、やがて
クラブのパートナーとして迎え入れる。とはいえ、レイヨンは
エイズ以外に重度のドラッグ依存症。明けても暮れても治らない
彼女の醜態に苛立ち、度重なる押収でクラブも危機を迎えるが…
マコノヒーの演技はその20キロを超える減量に劣らない説得力で
観客を圧倒するが、彼の相棒役のJ・レトーがそれを上回る圧巻の
演技で観客を魅了する。美しさも醜さも持ち合わせた彼のサポート
あってのマコノヒー主演であると実感させられた。更に医師役の
J・ガーナーも素晴らしい。ロン本人も周囲に恵まれた男だったが
彼を演じる俳優も周囲に恵まれている。まさに相乗効果の賜物。
内容は重いが感動作というのではない。あくまで姿勢は変わらず、
酒も女も舞い続けるし、彼は死ぬまでテキサスカウボーイである。
(林原生物科学研究所まで出てきてビックリ。その行動力にも驚く)
素晴らしかった
げそげそのマシューマコノヒーに鬼気迫るものがあった。法律や制度や管理などに個人がいかに立ち向かうべきなのか、自由とはなんなのかとても丁寧にぬくもりのある形で描いていて素晴らしかった。
とくに友達のオカマがとてもナイスガイで、死んでしまう場面は悲しかった。
メキシコの医者は野良としても自由と人助けなど、とても気高い精神を感じさせた。彼とかかわったことで瀕死のマシューマコノヒーがどんどん元気になっていく様子は力がみなぎった。
死なないことに懸命で、生きている感じがしない
マジック・ マイクのヌードの美に感心してから、数ヶ月。撮影された時期も違うのだろうけど、すごい役者だと思った。生きるためにあらゆる手段を探り、実行して、認可の壁に挑み続けたその行動が心に残った。毛嫌いしていたレイヨンの病院での毒性の強い薬の投与の果ての死に、医者に掴みかかって罵る姿や、元の仕事仲間がレイヨンを見下したときに、首を締め上げて握手させたときに、情を感じた。病状が深刻なレベルの患者に、偽薬を投与することは、無慈悲なのだと心の底から思った。
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