ダラス・バイヤーズクラブのレビュー・感想・評価
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クスリと毒づく
毒付く男とクスリ、といえば、やすし師匠か、トニー・モンタナぐらいしかいなかったわけで、本作のマコノヒーも、繊細にして、粗野に生きる。関係ないけど、その風貌は、「悪魔のいけにえ」のヒッチハイカー。
レトもマコノヒー並に、変化する俳優として有名だったわけで、この辺の役どころは彼にとっては、もろ守備範囲。レノンからボランへの心変わりにはニヤリ。しかし80年代でテキサスでボラン、というのはどうなんだろ。
本作は、一人の男のやりたいことをやる、一貫してその視点。
一人の男にのみ徹底して視点を置くことがこの作品の強みでもあるが、同時に作品の吸引力を損なっている弱みでもある。
物語は、事実だろうが、あまり社会風刺等、突っ込んだ内容ではなく、いささか一方的な論理でしか語っていない。第一、そもそもうまくいくはずのないクラブ運営ではある。
人は過ちから学ぶ。しかし、取り返しようのない過ちはある。カジュアル・セックスから得る喜びは、得難いものだが、それを責めることでは何も解決しない。
彼のこれまでのだらしない生き方には共感できない、という考えもここでは意味を持たない。
この映画の見どころは、今を生きる男の、自分を信じる心とその力強さにある。
T-REXの「LIFE IS STRANGE」
ラストのロデオで見せる姿は、今を生きる男の、自分を信じる心とその力強さを体現した男の勇姿。その姿は見た目以上に太くたくましい。
追記
映画でしか見たことのない俺だが、テキサス、カウボーイというと、上記のヒッチハイカー、黒人嫌い、ホモ嫌い、という、偏見のカタマリのイメージがある。
この映画は、そんなオレのような人間に対する、テキサス魂の反論そして、その自戒の念が込められているように思う。
避妊は必須。怖いはH IVだけでは無い。しかも女性は◯◯
アメリカの医療の問題は社会保険制度がしっかりしていない事にある。
HIVが恐れられたのも血液製剤とドラッグと避妊をしないでの生殖行為(相手の物理的性別に関係なく)だったと記憶する。
この映画の主人公の行動は駄目だとは言えないが、難病はHIVだけでないので、この行動だけでは、アメリカの医療が良くなったとは言えない。
鑑賞していて、所詮『命は金なんだ』と感じた。
主人公が命が繋ぐのは大いに評価したいが、彼が末期のHIVであった事を考えるとうつされた可能性のある女性も沢山いるはずだ。
映画ではそれに一切触れる事はしない。
『生きたい』その姿勢は評価できても、周りを巻き込み過ぎている。それぞれの状況を鑑みれば、彼の行動が必ずしも正解とは限らない。もっとひっそりと孤独に死と戦う者の姿が見たい。共感はできても感動は出来ない。
人生はメメント・モリである。まぁ、僕の哲学だが。
f○ck youさえも美しい
感激でした。
素晴らしい!
まず、主演のマシュー・マコノヒーの怖いぐらいの役作りと演技力に拍手。
ガリガリすぎて本当に誰だかわからなくて、演技も自然な感じなので、ドキュメンタリーでも観ているように感じました。
やはり、実話を作品にするとすごいリアリティがあります。
エイズに感染したカウボーイが未承認の薬で多くの人々を救おうとするストーリーともあって、本当にロンがカッコいいです。
当時、エイズはホモがなる病気だというとんでもない偏見があった中、自分でちゃんと調べ、その上で多数派に立ち向かってゆく。
下品な言葉も美しく感じます。
ロン、本当によく頑張ってくれました。
レイヨン役のジャレッド・レトも女装がすごい似合っていて、ホモをあんなに嫌がっていたのにロンがレイヨンをハグするところは涙腺が緩みました。
裁判には負けたけれど、もう、勝ちですよ。
エイズのことは知っているようで、知らないことだらけ。
R15 ではありますが、学校の教材なんかで使って欲しい映画です。
実話ということに、より興奮
主人公のロンは最初は自己中心的な一面が見えていたが、自分がHIVにかかってしまったことで同じHIV患者に対する優しさが徐々に見えるようになってきているのを感じました。
そのほかにも、ホモを嫌う友人がレイヨンの握手を拒んだことに対する反応や、HIVにかかった後はセックスを我慢する行動は相手を思いやっているんだなと感じ、序盤の主人公の印象が見終わったころにはだいぶ変わってました。
それから主人公はだいぶ行動力があるなと終始感じました。今自分がやるべきと思ったことを行動に移している姿を見て、これが死に近づいた人間の姿なのかなと感じました。
演出の面では、主人公がHIV患者ということもあって、マシュー・マコノヒーの痩せ具合が病人であることをしっかり連想させてくれましたし、ジャレッド・レトの死直前のストッキングのボロボロな感じも含めたやつれ方が、絶望感を演出していました。
最後の主人公が裁判に負けて帰ってきたのを会員が祝福しているシーンは、照れくさそうにしている主人公の感じがよかったです。
なってみて初めて分かる事
酒女博打薬と奔放に生きるカウボーイがHIVに掛かり1980年代当時偏見と誤解に満ちたこの病から生延びる為、未承認薬密輸をビジネスにして国絡みの薬事利権と戦う話。自身が患者となり生延びる為また金儲けの手段として初めた活動が、最終的には同じ病を持つ人々を少しでも救う為にと使命感と共に変わっていく様には泣けた。同様にメスやコカイン使ってた男が加工食品にすら抵抗を感じる様になっていく様は笑えた。自分も数年前から指定難病持ちで投薬治療を受ける身の上、共感する部分は多かった。ウルフオブウォールストリートでもヤク中なマシュー・マコノヒーのキャラ作りの為の努力含め演技が非常に良い。ジャレッド・レトもトランスジェンダーという難しい役をスマートにこなしていてとてもよかった。
テキサス男が薬事法無視の
規制や規則は必要だから存在するはずが、余命が宣告され、なりふり構っていられない人には足かせになることも。
常識にとらわれない生き方、不可能を可能にする行動力、薬事法に対する皮肉、自堕落だった男が役割を見つける姿が描かれていた。
ユーモアは困難な状況で元気をくれる「お前に必要なのはハグとロデオの観戦さ」とか、言ってみたい(笑)
死に直面した男の行動力
余命30日と言われた男の行動力が素晴らしい
今までドラッグなど無茶して生きてきた男が自身の病状をしり、HIVとは何かから勉強しはじめ、行動を起こしていく
周囲の無知識からくる差別や偏見を受けつつも、自分が正しいと思った道を違法ではあるが突き進んでいく
荒れた生活をしていて、適当に過ごしているように見える男が、死に対して恐怖を抱き涙を流しているのはとても切なかった
自分が助からない病だと知ってから生きるということは、耐え難いものなのだろう
悔しくて、怖くて、たまらないだろうと思う
そんな中で、国をも動かしていく行動力
彼の残した功績は素晴らしい
医師の余命宣告から、長い歳月を生き抜いたことに感動した
主人公の変化の様子がすごい
場末感漂うカウボーイだが、意外と素直にHIV陽性を受け入れて、一見不向きな図書館にこもって治療薬について調べたり、まっすぐだった。急な余命宣告を前にして、生きる事に貪欲に、HIVになる前よりも更生した生活を自ら送っている。副作用の大きな認可薬よりも海外の認可外の効果のある薬を求めて手段を選ばず密輸するうち、いつの間にか、人の為も思いながら行動するようになっていく。主人公が1作品の中で、顔つきや顔色や体型まで、病状や心情に応じてビジュアルもころころ変わっていく。医者や役者よりも、命がかかっている患者の方が余程知識に富んでいる。
荒くれた弟とは違い警官の道を進みながらも、弟を優しく見守りピンチを救う兄の存在がとても温かかった。
当たり前の日常が脅かされる不健康は恐ろしい。
激やせが痛々しい映画
Mマコノヒーがアカデミー主演男優賞を取ったのも納得の演技。
でもストーリー自体は、実話に基づいているからとは言えいまひとつ・・・
もっと当局との争いとかいろんな苦労があったんじゃないかと思うわけだが、そのあたりが描写が少なくて盛り上がりに欠ける気がした。
実話を元にした…
実話を元にした映画は好きではありませんが、この映画は期待を裏切りとても◎
80年代の話だそうですが、その頃はまだAIDSに対して偏見の塊。AIDSに。ホモに。ドラッグに。カウボーイに。そしてアメリカに…
余命30日って言ったら、お涙物語じゃないすか、普通。この映画はお涙頂戴って言われなくても感動してしまう。ロンの生き方に。
アカデミー賞も納得のマコノヒーとレト。
彼は富も手にして、薬の入手ルートも確保出来ていながら、何故訴訟を起こしてまで戦ったのか?訴訟で勝ってしまうとクラブ経営は成り立たなくなってしまうのに…。
崇高な目的の為に彼が取る手段は、「自分で飲む薬くらい、自分で決めさせろよ」。国がやってることなんかに従ってられっかよ。というスタンスは、80年代でなく、今のアメリカにこそ響くメッセージ。
「もう一度ロデオに戻りたかった」という夢を叶える爽やかなラストシーンは、色んな思いが巡ってとても胸を打つ。
余命30日からの再出発
80年代、テキサス州ダラス。
酒と女とロデオに明け暮れ、刹那的に生きる電気技師のロン。
ある日、ロデオの賭けに負けた彼は、負けを踏み倒して自分のトレーラーハウスに逃げ帰るが、膝から崩れ落ち意識を失ってしまう。
病院のベッドの上で目覚めた彼を待っていたのは、厳しい宣告だった。
HIV陽性。
余命わずか30日。
エイズ=ゲイ
80年代当時、エイズは同性愛者が感染する病気という偏見に満ちた時代だった。
同性愛者でもない自分がエイズに感染する筈はない、とロン自身、感染したという現実を信じることが出来ない。
しかし、何より痩せ細り衰弱した身体が厳しい現実を彼に突きつけていた。
エイズ治療の新薬AZTの治験に参加出来なかったロンだったが、AZTには強い副作用があると知る。
彼は、アメリカ国内では未承認だが副作用も弱く効用も証明されている薬を求めてメキシコへ。
余命30日?
死んでたまるか!
彼を動かしているのは、
「死にたくない」「生きたい」
という強い意志だが、
言ってみれば、実に自分本位な動機だ。
ダラス・バイヤーズクラブの設立も、
同じ病の仲間を助けるというよりも
どちらかといえば、ビジネス。
しかし、彼は生きるために病気について学び、新薬についてリサーチし、一端の専門家並みの知識を得、彼が設立したダラス・バイヤーズクラブは多くのエイズ患者を助けることになる。
衰弱した身体に鞭打って薬の確保に奔走する彼がふと理解者である医師イブに弱音を吐く。
死なないことに一生懸命で、
生きてる気がしない。
しかし、自堕落に生きてきた彼は
「余命30日」から生き始める。
これが実にいい、というか清々しい。
彼の身体は衰弱していくが、彼の精神は生き生きと充実していくのだ。
一方、皆がロンのように生き直せる訳ではない。
同性愛者に対して偏見を持つロンに代わってゲイ・コミュニティとの橋渡し役となるトランス・ジェンダーのレイヨンは、彼の活動に協力しながらも、どうしてもドラッグを断ち切ることが出来ず、
結局それが彼の命を縮めることになる。
死を前にして彼がクラブの存続の為に疎遠だった父親を訪ねるシーンには胸が詰まる。
彼はドラッグを断ち切ることが出来なかったが、最期まで闘い続けた。
(このシーンのレイヨン、というかジャレッド・レト!その彼の弱さも強さもひっくるめて抱きしめたくなった!)
ロン、レイヨンを演じたM・マコノヒーとジャレッド・レトはそれぞれ20キロ、18キロの減量をしてこの役に臨み、見事にオスカーを獲得した。
減量は役にリアリティを与えはしたが、受賞は彼等のこれまでのキャリアの積み重ねであり、実力だと思う。
どんどん痩せ細っていく二人の傍で、医師を演じたジェニファー・ガーナーの健康的な姿はロンとレイヨンの二人にとっても観客にとっても慰めとなっていたと思う。
納得のアカデミー賞
HIVを巡る当時の混乱と製薬業界の闇を描いているが、主人公の生き方が聖人君子ではなく、生きることにとことんこだわり、ある意味見苦しくもあるけれども、結果的に世の中を動かしていくという話の展開は痛快でいかにもアメリカ的。何より、マシュー・マコノミーの迫真迫る演技とジャレット・レノの唾を飲む妖しさが素晴らしい。お二人は納得のアカデミー俳優賞。
レイティング下げてもいいんじゃない?
2014年2月の公開時には時間が合わず泣く泣く見に行けなかった本作。そろそろレンタルするかなーと思っていたら、行きつけの映画館が2014年ベスト10として、上映するとのこと。しかも会員500円!鼻息荒く行ってまいりました。
マコノヒーはマッドでもアウトローなレッドネックの男を演じておりました。それを先に見ているので、ダラスバイヤーズクラブのロンと、中の人が同じとは思えない容貌になっていて、知っていてもびっくりしました。俳優は大変だ。
AIDSの話であり、偏見の話であり、戦いの話です。わりと社会派です。
R-15だと中学生が見られません。そんなに性的な過激さは強くなかったと思うので、下げて広く見てほしいなと思いました。
思っただけですけど。
最初、薬を買いに来たゲイカップルに、ロンはまだホモフォビア満載の態度ですが、長い付き合いのうちに彼らとハグできる程度には変わりました。
出会ったときは噛み付かんばかりに侮辱したジャレットレトの為に、スーパーで旧友に怒鳴りました。
ちょっとだけ、視野が広くなって違うことを受け入れられる人になったロンが見られました。
その辺りがじんわり感動でした。
重くも描けるネタを、悪ぶったまま描ききっており、その辺も好感を持ちました。
余命宣告後に仲間に追われて、車で逃げる途中に絶望して自殺しようとするシーンがあります。あの情けなさに人間らしらを見たように思いました。
「生き方は自分で選ぶ」大切さ。
「飲む薬は自分で決める」という異色?のテーマ。自分の生き方は自分で決めること、自分という人間を知ることを学んでいくHIV末期患者が主役。医者の指示で飲んだ薬が副作用を起こす事を知り、自ら仕入れた薬を密輸し売り始める。 同じくHIV末期患者をパートナーに会社を設立。会費月400ドル払えば飲む薬は自分で選べるシステムの「ダラス・バイヤーズ・クラブ」という会費制クラブとする。会員は増えていくが、違法の医薬を使うためにFDAが邪魔をしてきて……という展開。
ガリ痩せの末期患者、凄くM・マコノヒーに似てるなと思ったら本人!この役を演じるために超絶ダイエットしたくさい。すげー役者魂。明るいシーンはあまりないけど退屈さを感じさせない。主人公ロンが自分の死と向き合って初めて他人とも向きあい、人生をどう生きるかという問題に向き合っていく姿が魅力的!
アカデミー獲るに相応しい映画
ウルフオブウォールストリートでディカプリオが取れなかった理由が、この映画観てわかりました。
アメリカ社会における人種差別をテーマにした映画で、特にアメリカ南部なんてとても激しいところが舞台となっています。それは黄色人種によるものでなく、ホモセクシャルとhiv感染者に対するもの。サンフランシスコでは同性愛者による結婚を認めるなど、切ってはきれない関係が描かれています。
カウボーイなんてホモがするものだなんて
映画『真夜中のカウボーイ』でジョーボイドがカウボーイの格好でニューヨークでの繁華街でさまようシーンを思い出しました。
それだけカウボーイ=ホモセクシャルという偏見があるなかで、テキサスの地元で育った人にとっては屈辱あるものです。好きで本気でずっと育ってきた文化を侮辱されてきたのだから。本当のテキサスマンはカウボーイを愛し、ロデオを愛している。
マシューマコノヒー演じる主人公はそんな熱い漢だった。彼がAIDSになると、今までの友情は薄れ社会の端くれ扱いにされてしまう。それだけ、差別の激しい社会の中で、彼ができることは、医者から出された薬を信用せず、自分の力でAIDSを救おうと動いた努力だった。
死ねば何も残らないからこそ、最後の懺悔として死を恐れず行動したこと。
そんな彼の行動は決して間違って無かったことを証明したことはアメリカ社会に大きな影響を与えた名誉あることだと感じました。アルパチーノの『狼たちの午後』と並ぶくらい偉大なことだと思います。
先に話したアカデミーを獲るべき映画に相応しいものですね。
満点があげれなかったのは、日本のシーンが出てくるが恐らくチャイナタウンで日本人を使用してないところだけです。。
マシューマコノヒーはこの映画のために体重を26キロ減したのはすごい役者魂を、感じました。
次作の『インターステラー』が楽しみですね。
抑制の利いた良作。
オスカーを獲得した2人の演技は想像以上だった。特にマシューについては演じているということさえ感じさせないリアリティがあったように思う。
作中のロンはアメリカ南部の白人ということでイメージ通りの保守的な思想をまとってはいるが、生活そのものは破綻する手前でいわゆる飲む打つ買うプラス薬もガンガンやっている。そんな彼がいざエイズという難病に直面し、死への恐怖から現実逃避を重ねさらに絶望の淵までいってから、生きながらえることを渇望するまでが序盤ということになる。つらいシーンが続くが、正直なところ同情するまでいかないのは明らかに自業自得でもあるからだ。
この作品では冒頭とラストという重要なシーンだけでなく、何度もロデオ会場のシーンが描かれる。印象的だったのは暴れ牛の目に寄せたカットとクラウンの描写。この作品における暴れ牛の比喩は主人公にとっての人生や現実であろうし、エイズ患者にとってのアメリカ(当時の)であろうし、同性愛者やトランスジェンダーにとっての偏見であろう。そして観客にとっては各々がそれぞれの思いを投影させる対象になる。
さらにロデオにおけるクラウンの存在は和ませるだけにとどまらず、時に振り落とされたライダー達を身を挺して守ったりもする非常に重要なものだ。だからロンがクラウンを見つめる時も彼の心の中で何を見出しているのかは一義ではない。彼が誰もいないロデオ会場でクラウンの幻想を観るシーンは秀逸だったと思う。
中盤から終盤にかけてロンという人物を観客にも寄り添えるように演じきったマシューは凄い俳優になったものだ。保守からリベラルへ、破滅から再生へなどという言及では語りきれない感情の揺れを見事に演じきった。作中でも見かけの増減をしている風だったし、その辺りは一体どうやったのかも気になるところ。ちなみに彼が行きつけのバーでレイヨンと話しているときに「ンーフン」と返事したときの節回しが「WOWS」でのアレにかなり似てたように聞こえてウケた。
日本が絡むシーンは非常に残念すぎるクオリティだったが(AZTの偏った描写も含め)、それを差し引いても素晴らしい作品だった。
社会に…病気に立ち向かったのはただ生きたかっただけ。そんな姿に胸を打ちました。
社会に見放されたチンピラがただ生きるために抗い続ける…HIV感染と患者に対する偏見と余命と生きるすべを与えない政治は彼が抗えば抗うほど容赦無く潰しにくる…ってもともと違法なのは違法なんですけどね。でも、ロンは自らが生きる過程でレイヨンというゲイに出会いお互いを支えながら生きる中で多くの人を救い、最後はその多くの人達に救われて行きて行く…余命30日が7年って…実話なんだからさらにびっくり!
片田舎でサギと電気工で日々をその日暮らしで暮らしていたロンに突然のHIV感染と余命30日の宣告。荒れに荒れた末に、生きる術を探し始める。その差中、アメリカはHIVに効果があるとされるある薬品の認可の為に臨床実験を始め、それを聞きつけたロンは闇ルートで手に入れ、毎日飲み続けるが症状は日に日に悪化し、挙げ句の果てにATZも手に入らなくなる。
わすかな情報を元に、メキシコの医師を尋ねると、そこは無免許医でさもカオスなお医者さん。ほんとに映像としてびっくりした。その医師にATZをやめペプチドTやビタミン剤などでの延命治療を施され、自らの体調回復を根拠にアメリカで無認可の薬品を使った薬品治療のクラブをつくる。もちろん、金儲けが目的です。そんな中、ゲイのレイヨンと出会いひょんなことからビジネスパートナーへ。
一方で、ATZはアメリカに認可されたものの、その副作用で時には死期を早めることすらある可能性のある薬品だったが、政府との癒着?で瞬く間にひろまった。
ロンは自らが無認可の薬品で延命を続けながらも、それがアメリカでは違法とされ、もう一方でアメリカで認可されている薬品の副作用の強さから自らの正当性とATZの危険性を指摘し裁判を起こすまでに…というか、その途中途中で違法な商売に対する政府の制裁とかいろいろあったんですけどね。最初は違法な金儲けに対する制裁に対して、なんとか法の穴を潜り抜けようともがいてたロンがいつしか、人を救う薬品があるのにそれを違法とされる社会に疑問をもち戦いはじめる…。
いや、マシュー•マコノヒーとジャレット•レトーの演技が本当に素晴らしい!ジャレット•レトーが親に自らがHIV感染者と告げ、ロンへの支援を求めた時やそのお金をロンへ届ける前に自らの体調の悪さを押してめいいっぱいオシャレをする姿…本当にすごかったす!マコノヒーももう、本当に凄すぎる!ドラッグやアルコールでやられてる姿や社会に対して憤る姿…快演です!ってか、マコノヒーさすがに21kgも痩せただけあって、本当に鬼気迫る感じになってたし、症状が悪化して白く血の気のなくなって行く姿とか、本当に見ていてぞっとしました。
30日の余命を7年まで延命しながら、その間政府が認可しないという理由で失われていた命を救い続けるという小説よりも奇なストーリーをこの2人がより強く響くストーリーにしたてあげてます!
個人的には、やっぱりHIVって怖いし、空気感染はないとは言われてるけど、実際あるんじゃないか?とか偏見を持ってしまってます。でも、実際に彼らが受ける偏見は本当に厳しくて、生きることが嫌になるほどの偏見があったというのもとても実感しました。
また、人を救うためにある政府が私服を肥やし人を救わないなんてことはままある話なものの、人の命に関わる重大事でもそんな事が起きてしまう事にも辟易としながらも、一人敢然と立ち向かったロンの姿に元気をもらいました!
最後に、ロンが『普通ってなんだ?死なない為に生き続けるのは嫌だ』的な事を言いますが、本当に死なない為に生きる人ってたくさんいるんだろうし、自分は健康なだけに健康な事を前提にいろいろな物事を考えますが、今生きていることって本当に素晴らしい事なんだと感じさせるそんなお話でした。
全26件中、1~20件目を表示