「社会に…病気に立ち向かったのはただ生きたかっただけ。そんな姿に胸を打ちました。」ダラス・バイヤーズクラブ もしゃさんの映画レビュー(感想・評価)
社会に…病気に立ち向かったのはただ生きたかっただけ。そんな姿に胸を打ちました。
社会に見放されたチンピラがただ生きるために抗い続ける…HIV感染と患者に対する偏見と余命と生きるすべを与えない政治は彼が抗えば抗うほど容赦無く潰しにくる…ってもともと違法なのは違法なんですけどね。でも、ロンは自らが生きる過程でレイヨンというゲイに出会いお互いを支えながら生きる中で多くの人を救い、最後はその多くの人達に救われて行きて行く…余命30日が7年って…実話なんだからさらにびっくり!
片田舎でサギと電気工で日々をその日暮らしで暮らしていたロンに突然のHIV感染と余命30日の宣告。荒れに荒れた末に、生きる術を探し始める。その差中、アメリカはHIVに効果があるとされるある薬品の認可の為に臨床実験を始め、それを聞きつけたロンは闇ルートで手に入れ、毎日飲み続けるが症状は日に日に悪化し、挙げ句の果てにATZも手に入らなくなる。
わすかな情報を元に、メキシコの医師を尋ねると、そこは無免許医でさもカオスなお医者さん。ほんとに映像としてびっくりした。その医師にATZをやめペプチドTやビタミン剤などでの延命治療を施され、自らの体調回復を根拠にアメリカで無認可の薬品を使った薬品治療のクラブをつくる。もちろん、金儲けが目的です。そんな中、ゲイのレイヨンと出会いひょんなことからビジネスパートナーへ。
一方で、ATZはアメリカに認可されたものの、その副作用で時には死期を早めることすらある可能性のある薬品だったが、政府との癒着?で瞬く間にひろまった。
ロンは自らが無認可の薬品で延命を続けながらも、それがアメリカでは違法とされ、もう一方でアメリカで認可されている薬品の副作用の強さから自らの正当性とATZの危険性を指摘し裁判を起こすまでに…というか、その途中途中で違法な商売に対する政府の制裁とかいろいろあったんですけどね。最初は違法な金儲けに対する制裁に対して、なんとか法の穴を潜り抜けようともがいてたロンがいつしか、人を救う薬品があるのにそれを違法とされる社会に疑問をもち戦いはじめる…。
いや、マシュー•マコノヒーとジャレット•レトーの演技が本当に素晴らしい!ジャレット•レトーが親に自らがHIV感染者と告げ、ロンへの支援を求めた時やそのお金をロンへ届ける前に自らの体調の悪さを押してめいいっぱいオシャレをする姿…本当にすごかったす!マコノヒーももう、本当に凄すぎる!ドラッグやアルコールでやられてる姿や社会に対して憤る姿…快演です!ってか、マコノヒーさすがに21kgも痩せただけあって、本当に鬼気迫る感じになってたし、症状が悪化して白く血の気のなくなって行く姿とか、本当に見ていてぞっとしました。
30日の余命を7年まで延命しながら、その間政府が認可しないという理由で失われていた命を救い続けるという小説よりも奇なストーリーをこの2人がより強く響くストーリーにしたてあげてます!
個人的には、やっぱりHIVって怖いし、空気感染はないとは言われてるけど、実際あるんじゃないか?とか偏見を持ってしまってます。でも、実際に彼らが受ける偏見は本当に厳しくて、生きることが嫌になるほどの偏見があったというのもとても実感しました。
また、人を救うためにある政府が私服を肥やし人を救わないなんてことはままある話なものの、人の命に関わる重大事でもそんな事が起きてしまう事にも辟易としながらも、一人敢然と立ち向かったロンの姿に元気をもらいました!
最後に、ロンが『普通ってなんだ?死なない為に生き続けるのは嫌だ』的な事を言いますが、本当に死なない為に生きる人ってたくさんいるんだろうし、自分は健康なだけに健康な事を前提にいろいろな物事を考えますが、今生きていることって本当に素晴らしい事なんだと感じさせるそんなお話でした。