劇場公開日 2014年2月22日

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「マシュー・マコノヒーの最高傑作」ダラス・バイヤーズクラブ pullusさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5マシュー・マコノヒーの最高傑作

2014年3月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

楽しい

マシュー・マコノヒーの最高傑作であると同時にジャレット・レトの代表作となるだろう。
両者は本作品で見事に主演男優賞と助演男優賞を受賞した。

HIVという重いテーマを扱いながら、しかも実話という設定の映画であるが、心が温まり思わずくすりと笑える作品に仕上がっている。それはマコノヒーのワイルドなキャラクターや、レトの魅力的な女装のおかげかもしれない。
主人公であるロンは女、酒、ドラッグにおぼれたクソ野郎だが、宣告された余命を誰よりも力強く生き抜こうする姿には涙がこみ上げる。化粧をばっちり決めた美貌の持ち主レイヨンは自分がゲイであることを包み隠さない。レイヨンが部屋中に張った男性のポスターに戸惑うロンには笑ってしまう。
社会から忌み嫌われた彼らだが、誰よりも自由に、そして力強く生き抜いている。

演出の面では、彼らの感情が爆発するときにはあえて音を使わないようにしている。声を押し殺して泣く姿は痛々しく、胸が締め付けられる。音響の効果に頼らない、生の演技を感じることができる。

あと、これはもう諦めきっているのだが、もうそろそろ「なんちゃって日本」は卒業して欲しい。外国人は中国も日本も大差ないと思っているのだろうが、我々からすると、せっかく世界観に浸っているのに「なんちゃって日本」が出てきたとたんに冷めてしまう。日本のホテルには無駄に障子のパーテーションなどない。よい作品なのに、手を抜かれてしまうと現実にもどってしまう。アメリカ人全般における日本の捉え方に問題があると思うのだが。

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の冒頭にもマシュー・マコノヒーが登場しているので、比較してみると面白いだろう。10分くらいの登場だが、インパクトはすごい。

pullus