「人間生きたからには何かをなさねば、という事を教えてくれる」ダラス・バイヤーズクラブ たくっちさんの映画レビュー(感想・評価)
人間生きたからには何かをなさねば、という事を教えてくれる
人生は一度きりだ。楽しめよ。
いい言葉ですね。重みが違います。
途中から
「実写版のブラックジャックによろしくか?」とつい思ってしまった私。
でも、そもそも実写じゃなく実話なんですよね。
マシュー・マコノヒーとジャレッド・レトの演技が素晴らしい。
特にジャレッドレト。
性転換した女性の姿が様になると思えば、スーツを着て父親と面会する時は
どう見ても息子じゃないですか。当たり前ですけど。
男として、また女として、両性の演技が求められる
演技を違和感なく演じきっています。すごい。
もちろんマシューも。
人間味溢れるロン役を上手く演じており、先日ディカプリオに証券マンのなんたるやを伝授していた社長とはまったく似ても似つかない…。
マシュー演じるロンは、自分が当事者というのもあるからだろうけど
レト演じるレイヨンの為に
食事や投薬の事で本気で怒ったり
緊急入院した彼に紛い物の薬を投与する医師に掴みかかったり
かと思えば、ジェニファー演じるイブを(ビジネスな意味で)何度も口説きにきたりと
とても人間臭い。
そう。
半分は自分が生きる為であるんだろうけど
もう半分は自分のような人間を助ける為に闘っていた。
人間と、社会と、また色々なものと。
余命一ヶ月と宣告された、人生その日暮らしの一介の電気技師がですよ。
結果、多くの事を成し得ながら七年も生きた。
生きて何かを為す、というエネルギーの前では
病なんてちっぽけなものなのだと考えさせられました。
クライマックス、レイヨンが命を落としてからの展開は静かな感動です。
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