ホワイトタイガー ナチス極秘戦車・宿命の砲火のレビュー・感想・評価
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ロシア人の自虐史観も垣間見え
ドイツの戦車、ホワイトタイガーはまるで亡霊のように突如現れて襲ってくる。
これは予期せぬ争いや災いは、預かりしらぬところで起こるということを示唆しているのだろうか。
終盤、ヒトラーの口からロシアの自虐史観的な台詞が飛び出す。
「ソ連という国は陰気で暗い。あんな国はヨーロッパではない」と(その話を聞いているシルエットの男は誰なのだろうか)
作り手のロシア人脚本家やスタッフがそう思ってるからなのだろうけど、少し悲しいね。ロシア人=スラブ民族なのだから、もし西側ヨーロッパ人が割とそのような価値観を共有してるとしたら、ロシアが西側とは違う、と頑なになるのもわかる。
生のロシア人とは知り合いではないが、フィギュアスケーターが意外とユーモアに溢れた演技をしたり、サービス精神溢れるパフォーマンスをするので、そんなに真面目で陰気にではないのでは?と思ったりもする。
話としては、戦争に膿んでいるのか、人間に絶望しているのか、諦観した雰囲気が終始漂い、淡々とすすみそして終わった。戦車同士の激突も、本物を使っているとはいえ、迫力はそれほどなかった。
ロシア映画だとすれば、自虐的な映画だ。
ヒトラーにあのセリフを言わせるとは
B級感丸出しの題名から暇つぶしに観たのだが予想とは裏腹な深い(気がする)内容。いやストーリーはシンプルだし変にファンタジー的な要素も入っているが、突如現れた無敵の新型兵器へのパニック感があのような戦場奇譚を生むこともあるかもしれん。乗員含め敵兵の姿がほとんど出てこないのも魔物感を増幅させている。それにヒトラーにあのようなモノローグを吐かせるロシア映画を初めて見た。様々な国の野望.駆け引きが行き交ったあの大戦の責任を全て1人にひっかぶせてしまうことへの大いなる違和感。「ロシア人がそこに触れるのか!いいのか党の方は」と少々驚いた。エンタメとシリアスの両立。韓国映画に続きロシア映画も隅に置けんなあ。
それにしても相変わらずT34の実車が山ほど走り回ってるが、動けるのは一体何台残っているのだろうか。
ロシアらしくない中立的大型戦争映画でとても感動した。
タンク乗り版『風の谷のナウシカ』
第2次大戦末期のロシア、ドイツ軍に壊滅させられた現場でたった一人生き残った兵士ナイジョノフは瀕死の状態から奇跡的に回復を遂げたが記憶を失っていた。彼は戦隊が一台の白いタイガーIに全滅させられたと告げるが余りに荒唐無稽過ぎて誰も信じない。唯一彼の発言を信じた上官は彼に2人の部下と改造型T-34を与えて白いタイガー捜索を命じる。
冒頭から重圧な戦場描写で始まり、捜索の果てに遂に姿を現わす白いタイガーIとT-34の対決が圧巻ですが、それが本作のクライマックスではないことに驚きました。実はナイジョノフには戦車と会話が出来るという特殊能力があり、そこからお話が明後日の方向へ転がって意外な不完全終止で完結する、タンク乗り版『風の谷のナウシカ』となっています。タイガーIのレプリカも上出来ですし、戦車対決の描写や膨大な火薬量の戦闘も迫力満点。これをCGなしで描くロシア映画の血の気の多さに身震いしました。
戦車の声って、どんな声…?
方向性を固めて欲しかった。
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