「センスの塊」胸騒ぎの恋人 arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
センスの塊
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親友同士のマリーとフランシスはパーティーで会った無邪気で悪魔的な美青年ニコラに
一目で魅了されるが、お互いニコラに興味のない振りで相手を牽制。
三人が友人として親しくなるにつれ、マリーもフランシスも自分がニコラにとって友人の一人である現実に耐えられなくなるが…。
友人同士で同じ人を好きになってしまうというシチュエーションは現実にもよくあることで(少女マンガやドラマでもありがちなネタ)珍しくはないのだが、マリーはストレート、フランシスはゲイという設定がちょっと新鮮味を与えている。
それならば、
ニコラはストレートなのか?
それともゲイなのか?
これさえハッキリすればこの三角関係には簡単に片がつきそうなものだが、人の恋愛関係はそんなに簡単なものじゃない。
ニコラはバイセクシュアルかもしれないし、自認せずとも受け容れられるタイプかもしれないし、ニコラがどう反応するかによって三人の関係はどう転ぶかわからない。
マリーとフランシスの普段は仲の良い二人が、恋愛が絡むと途端に牽制し合う様子はまるで女友達のソレだし、二人共に振られた後はすっかりニコラに対して共闘するなど、これも女友達の間でありがちなことだ。
フランシスを演じる監督のグザヴィエ・ドランは弱冠25歳。この作品を撮った時には二十歳そこそこという早熟の天才肌。
彼の作品はこれが初見だが、自分で何をどう撮りたいのか、よく分かっている人だなという印象を受けた。
特に色遣いのセンスは、アルモドバルを思わせ、ハリウッドに毒されずこのまま順調にキャリアを積み重ねて行って欲しいと思う。
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