「赤い笑撃。」レッド・ファミリー ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
赤い笑撃。
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予告を観た時点ですでに面白かった作品は、本編でさらに納得。
え、キム・ギドクが?と思うほどの異色ホームコメディなんだけど、
「家族」というテーマを後半でズッシリ背負わせて観客を泣かせる。
南北に分かれて争う人間を疑似家族と腐敗家族に隣り合わせて配置。
年代も家族層もよく似た隣人同士が織りなす愛と裏切りのドラマだ。
隣の主婦はスパイだった、という嘘みたいなニュースが流れる昨今、
傍目には普通の一家と見せて家に入れば班長に一並び敬礼の工作員。
その日の工作内容の不備を妻役の班長に怒鳴られるお爺ちゃん役に
笑いながらも、隣家との付き合いが深くなっていくと其々の人間性
が浮かびあがる。故郷に残した家族の為に任務をこなす工作員たち。
逢いたくても逢えない工作員一家と喧嘩ばかりを繰り返すダメ一家
の対比をこれでもかとしつこく描いて幸せがどこにあるのかを示す。
中盤で夕食を共にする家族同士がニュースを見て激論を交わす場面、
娘役が説く「南北のこれから」に対し中高年が絶句するところが秀逸。
心中では分かっていることが実現されない虚しさは、何十年もの間、
家族に逢えることだけを祈ってきた祖父役の半人生を物語るようだ。
あまりにバカ(失礼)すぎる隣家の妻に辟易しながらも、ケンカすら
叶わないのが家族だろうかと問い直す班長の苦しみもしっかり描く。
工作員まで監視体制におかれる状況を描きながら、後半は誰を何を
守るかに徹する工作員たちの哀れが再現ドラマとなり船上で溢れる。
ベタながら多大な要素を配合させ纏めあげている凄いドラマ。
(昔「赤いシリーズ」にハマりましたが、非常にベタで面白かったです)
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