「キムギドク作品」レッド・ファミリー クリストフさんの映画レビュー(感想・評価)
キムギドク作品
「嘆きのピエタ」を観た時、これ作った人は底意地悪いなあ、と思ったのがキムギドクとの初体験。
今回も何気無く観て後からキムギドクが関わっているのを知り、彼の作家性について考えさせられた。
今作も「嘆きのピエタ」も、表面は悲しい過去とか苦しい現在とかを描いてるが、明るい未来を望めるのは家族有りきである事を大命題にしている。
隣人のおばあさんの言う「最後は家族しかない。死んで後悔しても遅い」という台詞は、それが韓国の家庭でも北の工作員でも、世界中の誰にとっても普遍的な事を、キムギドクは言いたかったのではないだろうか。
特に韓国国民にとっては、北の人もそうだが、半島統一という民族=家族の希望を常に抱いているから、尚更渇望して止まないのであろう。
その意味で今作は、とても素晴らしいテーマを厚かましくなくアピールする優秀なプロットがある。
しかし、映画としての出来はどうかというと、少し難癖付けたい。
常々他の作品で「無駄なシーンが多い」「ここはカットして良い」「作品時間を短くしろ」とか偉そうな事言ってますが、今作のカット割りは余りに不自然すぎ。繋がりは保っているが、ただ「作品時間を短くする為」だけの「ブツ切り感」が多く、少し興醒めしてしまう。それが作品全体を起伏無く淡々と観せてるのかもしれない。
それとラスト。娘もそうだけど、鉄工所のおじさんのその後も教えて欲しかったなあ。
キムギドクなんだから少しは下ネタも欲しかったなあ。
でも改めて、良い話でした。
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