「地味で重めのサスペンス」プリズナーズ ザキューさんの映画レビュー(感想・評価)
地味で重めのサスペンス
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当初本作は、スルーする気で満々だったが、『灼熱の魂』の監督作品と聞いてスルー出来なくなった。
ストーリーはシンプル。
娘が誘拐され容疑者が捕まるも、決定的な証拠も証言も得られず釈放。
業を煮やした父親は、密かに容疑者を誘拐監禁。娘の居場所を吐き出させようとするが…。
サスペンスの緊張感はなかなかのもの。このジャンルとしては長尺の方だが、最初はゆっくり、徐々に深まっていくサスペンス。
明かされる真相は結構トリッキーで、一度観ただけではちょっと分かりにくいところも。
ただ、伏線と回収の仕方には唸らせるものがある。ラストの幕切れもキレがある!
観終わってからジワジワくるタイプの作品かな。
被害者の家族の心情は丁寧に描いていて、感情移入しやすい。だから、行き過ぎた行動に走っていく父親に、自分だったらどうするか?と考えざるを得なくなる。
一方、刑事の視点では、彼のパーソナルな部分がほとんど描かれないので、あくまで事件を第三者視点で俯瞰するための人物ぽくて、ちょっと勿体無い気もした。
また、被害者の父親に監禁され、激しい虐待を受ける容疑者のその後なども、あっさりと淡白にしか描かれないのもちょっと惜しいか。
衝撃度で言えば『灼熱の魂』は超えられなかったかな。
とはいえ、久々に骨太のサスペンスを観たなあ、と大満足。
タイトルがなかなか深い。『プリズナーズ』即ち『囚われし人々』……色々な意味で、登場人物たち皆囚われていましたね。
この監督さんの次回作が、『白い闇』のジョゼ•サラマーゴ原作の『複製された男』との事。
しかも早くもこの夏公開らしいので、今から楽しみ過ぎる!
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