ジョバンニの島のレビュー・感想・評価
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子供の純粋さに泣ける
あまり期待せずに観たが、すごく良かった。
ソ連による北方領土の不法占領を描いた映画。当時の実際に起こったエピソードを使って構成していると見えて、リアリティがある。
個人的に宮沢賢治が好きだということもあり、物語のテーマが深くこころに染みた。
大人たちの思惑と関係なく、日本の子供とロシアの子供がだんだん仲良くなっていくところが泣ける。「純粋さ」に泣けるのはなぜなのだろう。それがあわれだからなのか、それが本来の人間の姿だと思うからなのか。
明確な悪役みたいな人物がいないことにより、変にイデオロギー的にならずにすんでいる。だれも悪い人ではないのに、信じられないような悲劇が起こる。これが戦争のリアルであり、恐ろしさなんだろう。
戦争という最悪の状況になったら、そのときにはすでに手遅れで、最悪につきすすむしかなくなる。だから、手を尽くして戦争が起こらないようにしなければならないのだと思う。
視聴率的には厳しいのかもしれないが、同じ映画を何度も放送するよりも、こういうあまり知られていないけど良い映画を放送してほしい。
北方領土 & 銀河鉄道の夜
終戦の後にこういうことがあったのか……。じいちゃんの潔さが、凄い!ちょいワル(?)のおじさんの明るさが救いかも……。
「赤とんぼVSカチューシャ」「カチューシャ = 赤とんぼ」
映画「ジョパンニの島」(西久保瑞穂監督)から。
「北方四島における実話をもとに、ソ連軍の進駐によって
引き起こされる色丹島民たちの過酷な運命を描いた作品」、
には違いないが、私の胸が熱くなったシーンは、
戦争とは無関係な両国(日本とロシア)の子供たちの様子。
最初は、自分たちの学校の教室を明け渡して、
対抗的だった日本の子どもたちは「自国の歌」(赤とんぼ)を
隣の教室のロシア兵の子どもたちに聞こえるように大声で歌う。
ロシア兵の子どもたちも、負けじと「カチューシャ」を歌う。
それを繰り返しているうちに、お互いの国の歌を覚えてしまう。
ついには、敵対している国の歌を、大声で歌うシーン。
全体の物語には直接関係ないことなのかもしれないが、
私がこの作品を思い出すには、このフレーズで充分である。
「赤とんぼVS カチューシャ」「カチューシャ = 赤とんぼ」
相手国の言語で覚えてしまう、子供たちの頭の柔らかさに、
戦争は、大人たちのエゴが引き起こした事件であり、
被害者は、何も知らない子どもたちだと悟った作品である。
P.S.
ラストシーン「銀河鉄道の夜ってどんなお話?」の問いに、
「死んだ人はみんな天に昇って、夜空の星になる。
星は、無数に限りなく、明るく降るように光り、
その光に照らされて、僕たちは今、こうして生きている。
そういうお話なんだ」と答えた主人公のひとり、純平。
う~ん、わかりやすい。
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