「ガッカリだったな」風の谷のナウシカ Syouitiさんの映画レビュー(感想・評価)
ガッカリだったな
当時、『ルパン三世・カリオストロの城』にはまり、何度も映画館に足を運んでいた。
『カリオストロ』の評判は少しづつ上がっていき、アニメ雑誌で監督の宮崎駿の特集なんかが組まれ、子供の頃に観て好きだった『太陽の王子ホルスの大冒険』や『長靴をはいた猫』『パンダコパンダ』も、宮崎駿が参加して作られたアニメだと知った。
『カリオストロ』に懐かしさを感じたのは、そのせいだったのね。
やがてアニメ雑誌に宮崎駿は『風の谷のナウシカ』というマンガの連載を始めた。
簡略化されたアニメの絵と違い、諸星大二郎っぽさを加えたような細密な画風。
残酷さも正面から描く、壮大なファンタジー。
夢中になって読んだ。
宮崎駿がいろんな著名人と対談する連載も読んだ(笑)。
そうしてるうちに『ナウシカ』のアニメ化の話を聞いた。
もちろん監督は宮崎駿。
原画には、そうそうたるベテランアニメーターに加え、独特な原画で知られる金田伊功さん、DAICONオープニングアニメで名をはせた庵野秀明も参加するという!
自分は期待に胸を躍らせた。
発表された主題歌が、ちょっと変だったが。まあ構わなかった(笑)。
公開されて、すぐ劇場に足を運んだと思う。
映画が始まると、徐々に自分は失望していった。
ぬるい。まるで気の抜けた炭酸飲料のようだ。
考えてみれば、話は原作通りなのに残酷なシーンは見せず、演出はこれまでの「まんが映画」の様式なんだから当たり前か。
映画のクライマックスは、王蟲の暴走をナウシカが止めるところらしい。
でも原作では王蟲とナウシカの間に酸の湖があったから、結果として王蟲が止まったのに、映画だと湖がないよ?
どうすんだろ、と思ったらナウシカが王蟲に跳ね飛ばされ、人形のようにポーンと宙に舞った。
その、あまりに間抜けな絵面に、自分は笑ってしまった。
さらに何頭もの王蟲が踏み潰していったようだから、もうミンチどころか肉片も残ってないだろう。
なのに王蟲が止まると・・、ナウシカ、五体満足じゃん!
なんじゃ、こりゃ。
いやあ、これで感動はできないでしょ。
ガッカリだよ。
その後、宮崎駿の監督作品は『天空の城 ラピュタ』『となりのトトロ』と観に行って、この2作品にはほぼ満足。
ただ演出のワンパターンさが、鼻についてきた。
そして『魔女の宅急便』で、「もう、いいかな」と思い、宮崎駿の作品を劇場に観に行くのを止めた。
それにしても宮崎駿が、こんな誰もが名前を知ってるような、国民的アニメ映画監督になるとは思わなかった。
それは別として『もののけ姫』は、日本の戦国時代を舞台にした、山猫のようなもののけと、心やさしいお姫様の物語であって欲しかったな。