「複数形の双方向形だ The sessions.」セッションズ きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
複数形の双方向形だ The sessions.
障がい者の性、
そして高齢者の性。
近年ようやく表立ってその存在が明らかになってきている。
でも
どちらも独特の興味をもって覗かれる“隠されていた世界”であるし、
薄々に気づいてはいても、声を潜めて語られるべきタブーの世界だったかもしれない。
ところがこの映画、
そんな“異常性”への興味から覗き見しようとしていた者に不思議な変化をもたらす良作だ。
見終わってみて「セラピーを受けていたのは他ならぬ私自身だった」と気付かせてくれる、人肌のあたたかで穏やかな映画なのだ。
体のふれあいは、イコール、心のふれあいと不可分離。一対のものなのだと、改めて僕らにわからせてくれる作品だと思う。
* * * * *
立っている人間からの視線と、寝ている人間が見ている景色の汲み取り方も丁寧ですね、
助演者たちがとてもいいから、物語に厚みが出ています。
オススメです。
日本語吹替えで鑑賞しました。詩人の物語をリスペクトして、会話と詩作の翻訳には細心の注意がなされています。
オススメです。
5年間、脳性マヒの青年の《24時間全介護》をチームを組んで行った 僕きりんからのオススメです。
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きりんさんのコメント
2022年2月3日
「誰にともなく捧げる愛の詩」
僕の言葉で君に触れたい
空っぽの手袋みたいなこの手の代わりに
僕の言葉で君の髪を撫でたい
その背中をなぞり お腹をくすぐりたい
軽くてまるで煉瓦のように放り投げられるこの手は 僕の願いを無視して 一番静かな欲望の実現も頑固に拒む
僕の言葉で君の心を開けたい
希望の光をもたらし
君の中に喜んで受け入れてもらいたい
それは君のことを優しく気遣うだろう