「神を信じる両側面が描かれている作品でした。」あなたを抱きしめる日まで Opportunity Costさんの映画レビュー(感想・評価)
神を信じる両側面が描かれている作品でした。
良かった。
特筆すべきはジュディ・デンチ。
今までの生活に幸せも感じていた普通の主婦。
明るく、オープン、お茶目、かつ神への信仰を忘れない彼女が抱えた哀しみ。
普段の彼女のパートがごく自然であるが故に、ふとした瞬間に虚空を見つめて過去に現在に想いを馳せる佇まいにグッときます。
普通も、悲しみも演じ切る彼女の演技力が非常に良かったです。
また話自体も良かった。
50年代の実話をもとに作成された本作。
カトリック修道院内で行われ続けていた“或る”行為。
それを実施する修道院側の“論理”“理屈”。
行為に対する憤りを抱くと同時に、仄見える原始的な感情である嫉妬。
対するフィロミーナも同じ神を信じ続ける。
あれだけの仕打ちを受けながらも信じることで救われている面もある。
同行するマーティンは無神論者であるため、登場人物のバランスが取れており神を信じる両側面を観ることが出来ました。
話のテンポも良かった。
比較的短い上映時間98分の中で無理なく話を詰め込んだ感じ。
若干、終盤前の急展開にご都合主義を感じなくはなかったですが、全体通して話運びは巧かったように思います。
題材は暗いですが、登場人物や話運びは前向きで観易い本作。
閉鎖的な環境下、或る価値観の中での善悪がいかに脆いか危ういかを感じるには良い作品だと思います。
オススメです。
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